珠山流舞踊発表会 in 東京

「待ってましたぁーっ!」
「はっ?」わたしはわが耳を疑った。
となりの座席に座っている母が、舞台に向かって突然叫んだからだ。
なおも、掛け声をかけ続ける母。
地元でだけかと思ったら、東京に来てまでそんなことをするとは・・・恐るべし。
f0046622_1752987.jpg母は若い頃、日本舞踊を習っていたが、再婚をきっかけにやめた。
商店街の中にあった前の家とは違い、今の家は漁師町にあって、悠長に習い事をしていられるような空気ではなかったからだ。

それから35年。
父の一周忌を終えて、何かが吹っ切れたのか、突然また踊り始めた。今は月二回のお稽古と、終わってからのお喋りを何よりの楽しみにしている。
f0046622_17522663.jpgアップにできるようにと髪も伸ばし始め、ほんの少しだがダイエットにも成功した。

そしてこのたび行われた、東京での発表会には、自分が出るわけでもないのに、弟子仲間15人と、「地獄のマイクロバスツアー」で参加したのだ。



東京一泊をはさんで、前後は8~9時間のマイクロバス漬け。
そしてまた、9時間近くの発表会見学。
「待ってましたーっ!」はそこでの出来事だ。
それに加えて美容師である母の場合、やれきものを着せてくれだの、髪の毛をアップにしてくれだのと、何かと借り出されることも多い。
そんな、わたしでもヘロヘロになりそうなスケジュールの中での、この恐ろしいほどのバイタリティはなんだろう?

やがて70歳になる母だが、昼間は美容院で仕事をし、健康や食事には今まで以上に気をつけるようになった。
理由はただひとつ、「あと10年は踊りたいから」だ。
なんだか今までのぶんを取り戻そうとしているかのようなブレイクぶりだ。
わたしはそれを、老人デビューと呼んでいる。

父が死んでひとり暮らしになった母を、どうしたものかと思っていたが、今のところ、なんとか母なりに楽しみを見つけてくれているので、正直ホッとしている。

母はその昔、まだ町に活気のあったころにあった小さな劇場で、歌ったり踊ったりしていたらしい。「大入り満員だった」と自慢げに見せる写真がコレだ。
35年のブランクはあるものの、気分はここから一気にワープしているに違いない。

なんとかあと10年、元気に踊っていてくれることを切に願っている。
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by adukot_u3 | 2008-06-08 11:42 | 演劇・演芸

歌好き地図好き散歩好き。モットーは『自分で調べて自分で考えて、なるべく自分の事は自分でやる』。さそり座、黒ひょう、AB型女。


by maccheroni
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