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佐藤佳子in森岡書店
前の日記にも書いた、茅場町(かやばちょう)のレトロなビルに入っている東欧専門古書店『森岡書店』に行ってきた。
ヴィオラ奏者・佐藤佳子さんの演奏を聴くためだ。

今回の催しは、書店内に展示された中藤毅彦さんという写真家が撮影した、東欧諸国の写真から受けたイメージを、佐藤さんがヴィオラで表現するというもの。
佐藤佳子さんの演奏目当てで行ったのだが、中藤毅彦さんの写真もまた素晴らしかった。東欧好きな私には、たまらない雰囲気を醸し出した作品ばかりだ。
デジタルを使わず、エコなどクソくらえ~とばかりに銀を多量に含んだハンガリーの印画紙(フォルテ)を使って撮影された黒は、深い闇の色をしていた。
中藤 毅彦さんの写真
聞くところによると、フォルテ社はデジタル化の波にのまれて閉鎖されたらしい。東欧の民主化は経済的には良いことなのだろうが、そういうものが消えていくのは、寂しい限りだ。



佐藤さんは、しばしばわたしの日記にも登場する、画家の友達のベルギー留学時代に知り合った友達だ。
毎年恒例の、七厘でいろいろ焼いてダラダラ話しながら飲む『七厘の会』に今年もダラダラしようと思って行ったところ、そこに、明らかに雰囲気のちがう、清清しい女性がいた。面白そうな人を見つけると、つい誘わずにはいられない彼女が誘ったその人が、佐藤さんだった。
「なんて白目(眼の白いとこ)が白くてキレイなんだろう・・・」
それが初対面の印象だった。

ベルギーにヴィオラで留学し、卒業後もずっとヨーロッパで活躍していたらしいことは聞いていたが、実際に演奏を聴いたことがないのと、音楽家にありがちなスノッブなところが全くない彼女のおかげで、それ以来、ヨッシー、ヨッシーと、良く知りもしないくせに気やすく呼ばせてもらっていた。

ところが、演奏が始まって驚いた。
これはヨッシーじゃない・・・。
弾き出すまでは、いつもの穏やかで朗らかな彼女なのだが、ヴィオラを手にしたとたん、豹変するのだ。
曲が終わってニッコリすると、ああ、やっぱりヨッシーだったと思うのだが、弾いている最中は、ほんとうに何かが憑依したとしか思えないほどだ。

音楽は6歳からやっているのだと言う。
そこからかれこれ20ン年。
その間、彼女はひたすら弦の上に弓を滑らせ、その音で自分を表現することに心血を注いできたのだ。半分は遠い外国で。
そのひたむきさには、畏敬の念すら抱いてしまうのだが、彼女の笑顔が穏やかなのは、そんな確かなものに裏打ちされているからなのだろうな。
ヴァイオリンではなく、ヴィオラを選んだのもまた、彼女らしい。

レトロなビル、東欧、モノクロ写真、ヴィオラ。
まるでわたしのためのコーディネートか?と思うような催しだ。始まるのが閉店後の夜9時というのもまたイケている。
終わったのが11時ちょっと前だというのに、4人連れで行ったのが災いして、今度は居酒屋という異空間へ。・・・・・・・・・・・・
しかも、二回公演でお疲れ+次回公演の打ち合わせで次の日の午前中には広島に行かなければならないというヨッシーも合流させてしまった。
あげくの果てに、帰りの電車が同じ方向だったわたしは、ベルギーの話に興味津々でヨッシーの車内睡眠時間を削ってしまう始末。
ほんとに畏敬の念を抱いているのかと、心の中でひとりつっこみをしながらの久々の終電帰宅となった。

【佐藤佳子さんプロフィール
次回は琴とのコラボレーションだそうだ。
by adukot_u3 | 2007-08-07 23:40 | 演劇・演芸
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