人気ブログランキング | 話題のタグを見る
寝台特急『北陸』
父の四十九日で、また田舎に行ってきた。
お正月に、繁忙期の飛行機に乗ってお金を使ってしまったので、今回は運賃節約のためと、趣味を兼ねて列車にしてみた。

「北陸フリーきっぷ」という切符は、新幹線、在来特急、普通列車の各指定席のどれでもに乗れて、東京〜金沢間が往復¥21,400-。
金沢から実家までのバス代を加算したとしても飛行機の片道ちょっとの値段で行って帰ってこれる。 それに何がうれしいって、普通列車の中には、寝台特急『北陸』も含まれているのだ。なのにこの安さ。まるで寝台好きのわたしのためにあるような切符だ。

寝台特急『北陸』_f0046622_155125.jpg上野駅を23:03に出て、翌朝6:34に金沢に到着するこの列車には、”B寝台”と呼ばれる昔ながらの二段ベッド・マジックテープ付きカーテン仕切り式の車両と、”ソロ”と呼ばれる狭小個室寝台車両、TVや洗面台を完備した”シングルデラックス”という3つのタイプの車両が連結されている。
さすがにデラックスの方は別料金だが、マジックテープと狭小個室の方は同じ値段なので、周りの気配が気になって眠れないわたしは当然”ソロ”派だ。
時間が自由になった昔はよく、この列車でのんびりと帰省したものだが、最近は飛行機でとんぼ帰りすることが多く、なかなか利用できないでいたので、三日間の休みがとれてからというもの、密かに心待ちにしていたのだった。



上野駅は独特の雰囲気をもっている。
江戸の情緒を残していたり、賑やかな歓楽街を抱えていたり、博物館や美術館がたくさんあったりという表の顔とは別に、上越、東北方面へと続く鉄路の起点であるホームには、土臭く、うらぶれたような雰囲気が、駅自体がピカピカになった今でも漂っている気がする。
そう感じるのは、わたしが地方出身者だからだろうか。
今でもそういう列車が発着するホームに行くと、夏の夜行寝台の蒸した車内の汗臭さと、オレンジ色の室内灯。少しだけ開けたカーテンの先に見えた、真夜中の停車駅の看板に群がる蛾の群れを思い出す。

・・・というような思いは駅を出てしばらくまでで、きれいにリニューアルされた車内は、さながら高級カプセルホテル(?)のようで、寝るのがもったいないぐらいに快適なのだ。(外見がちょっとボロいけど) わたしは、MRIを撮る時に初めて、自分が閉所恐怖症だということを悟ったが、この個室寝台では、そんなことは全然感じないので、そこそこの空間はあるのだろう。ちなみに天井は、身長155cmのわたしが少し猫背になったぐらいの高さだ。

備品は、木製ハンガー、スリッパ、折りたたみ式のミニテーブル、肘掛けを跳ね上げるとベッドになる椅子、ゴミ箱。
寝具はふとん、シーツ、枕、JRのロゴ入りゆかた。清潔感があってなかなかよい。
ライトは室内蛍光灯、読書灯、フットライト。換気扇、空調コントロールダイヤル。イヤホーンを持参する必要があるが、音楽も4チャンネルほど聴けるようになっている。わたしはまだ使ったことはないが、300円ほどでシャワー室も使える。
値段の割に充実しているが、運行時間が短いので、それらを満喫する時間が少ないのが難点だ。9時ごろに発車してくれると、夜景を眺めながら食事や晩酌がゆっくりできて、睡眠もとれて言うことなしなのだが、出張で使うサラリーマンにとっては不便なんだろうな。

うちの田舎にはかつて、『のと鉄道』というローカル線が走っていた。入りくんだ美しい海岸線を、トンネルを出たり入ったりしながらのんびりと眺められたのに、『能登空港』開港と引き換えるように、廃止された。東京からの所要時間は8時間→50分になった。

上越新幹線開業の時に廃止が検討されつつも、何とか生き延びてきた寝台特急『北陸』。平成26年完成予定の北陸新幹線開通のあかつきには、東京〜金沢間が2時間22分になるという。 『北陸』も『のと鉄道』と同じ道をたどるのだろうか。
by adukot_u3 | 2007-01-25 01:56 | 散歩・旅行
<< 百萬遍念珠くり 最後の大仕事 >>