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『里アンナ ライブ』
 奄美の島唄を歌うアーティスト『里アンナ』のストアライブに行った。場所は、都心にある新しい高層オフィスビルの地下。 地下と言っても2階までが吹き抜けになっていて、周りのオープンカフェやレストランからも見える、大理石張りの広くて素敵な空間だ。てっきりCD屋さんの店頭で歌うのかと思っていたので、ビックリだ。

 せっかくのライブなのに、席はちらほらとしか埋まっておらず、奥ゆかしいみなさんは、周りのオープンカフェのパラソルの下の席で遠巻きにしていらっしゃる。それを尻目に、一番前のド真ん中の席に陣取るわたし。そこに、ドラムロールが鳴るでもなく、司会者に紹介されるでもなく、トコトコとご本人が登場。

「みなさんこんにちは。わたしは里アンナです」ペコリ。 ひゃ〜、かわいい、ちっちゃい、ほそ〜い。
CDのジャケット写真より全然可愛らしい。プロフィールでは26歳とあるけれど、もっと若く見える。ちょっとたどたどしいMCさえ微笑ましいと感じるほどだ。

 ところが歌い出すと一転。さすが、小さい頃から島唄で鍛えられただけのことはある。この広い空間に負けない声量だ。
 キャッチコピーは、「精霊のやどる声」。オレがオレがと、声を前にグイグイと押し出てくるのではなく、いったん広がってから全体に音圧で包み込んで来るような感じ。一般的には癒し系と言われるのかも知れないが、いやいやその奥の力強さを見逃してはいけない。やさしさとはかなさと力強さ、その絶妙なバランスが、精霊を宿してもちっともおかしくないぐらいの不思議な魅力を醸し出している。

 この日はCDの収録曲と、クリスマスにちなんだ曲などを歌ったが、極めつけはやはりアンコール。
奄美の島唄「俊良主節(しゅんじょしゅぶし)」だ。
 『奄美大島は古くは琉球王朝、後に薩摩藩に支配されており、村を超えての恋愛の禁止、生活苦など、その圧政のなかから生まれた島唄は、民衆の呻きの声である』(CDの解説より)
 なるほど、奄美の島唄は呻きだったのか…。島唄も癒し系もそれほど興味のなかったわたしが惹きつけられたのは、長い歴史に培われた奄美独特の力強さだったようだ。

 今はマスメディアに上手に乗るアーティストがもてはやされがちだが、しっかりした基礎を持ちつつ地道にライブ活動を続ける里アンナさんの歌声は、今にきっといろんな人の心に届くはずだ。
by adukot_u3 | 2005-12-31 02:43 | 演劇・演芸
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