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藤圭子『聞いて下さい私の人生』

藤圭子さんが亡くなった。
あらためて歌を聴いてみて、やっぱり天才だなぁと思った。
あんな娘が生まれるのも当然のような気がする。

常々、美空ひばりを超える歌手はいないと思っていたが、こういう不幸な人の歌を歌わせたら、この人は美空ひばりを軽く超えると思う。

芸能ニュースで、亡くなる前のインタビューを見た。
息もつかず喋り続ける様子は、やはり少々奇異な印象を受ける。
レコーディングで、微妙に外してしまった音のズレを機械で簡単に直してしまう昨今の音楽業界の風潮に対して、「歌ってそういうものじゃないでしょ?歌は心でしょ?そんなんじゃ伝わらないでしょ?」とインタビュアーに語りかける彼女を見て、自ら命を絶ってしまった理由がなんとなくわかった。

心が聞き手に伝わるか伝わらないかよりも、効率だったり売れることだったりを重視する業界の流れの中で、彼女のような人が生きて行くのは苦しいに決まってる。
それに、あれだけの美貌の持ち主でありながら、いやらしさやいかがわしさを微塵も感じさせないところにも、彼女の危うさが伺える。

この『聞いて下さい私の人生』は、ちあきなおみさんの6枚組みCDの中の『わたしはこうして生きてきました』にも通じるところがある。
二人に共通するのは、幼いころから複雑な事情の家庭に育ち、物心つかないうちから芸能という大人の世界にどっぷりと漬かっているところだ。

そんなふたりが放つ”凄み”というものは、それぞれのパーソナリティに拠るところもあるのだろうが、当時の時代背景も大きく関係していただろう。
そんな時代が過ぎてしまった今では、もうふたりのような”凄み”を歌に求めるのは無理なことなのかも知れない。
昭和を歌える歌手がまたひとり逝ってしまった。
by adukot_u3 | 2013-09-07 00:09 | TV・音楽
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