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川上弘美『センセイの鞄』
遅ればせながら『センセイの鞄』を読んだ。
2001年度谷崎潤一郎賞受賞作品だそうだ。

37歳の独女ツキコと、老境にある元教師との恋愛物語。
いかにも谷崎潤一郎賞っぽい。
センセイがお堅いのと、ツキコも一風変わってるのとで、ふたりの仲はもどかしいほどに進展しない。
美しい恋愛話として人気らしいが、どうもわたしには合わなかった。
いいとは思うけれど、好きじゃない。
誰が見てもイケメンなんだろうが、イマイチ好きじゃない。
そんな感じ。

でも、
「ワタクシと、恋愛を前提としたおつきあいをして、いただけますでしょうか」
とか、
「長年、ご婦人と実際にはいたしませんでしたので」
とか、
「できるかどうか、ワタクシには自信がない。自信がないときに行ってみて、もしできなければ、ワタクシはますます自信を失うことでしょう。それが恐ろしくて、こころみることもできない。 まことにあいすまないことです」
などのセリフは、ちょっとグッと来なくもない。

で、「小学校のころわたしはずいぶん大人だった。
けれど中学 高校と時間が進むにつれてはんたいに大人でなくなっていった。
さらに時間がたつとすっかり子供じみた人間になってしまった」
に至っては、わたしのことかと思った。

所々なるほどと思うところもあったが、全体的にはやはりそんなに好みではない。
最後はセンセイが亡くなって、遺品として遺族からもらったセンセイの鞄を開ける場面でThe endとなるが、そこがしめっぽくないところはいい。

映画版『センセイの鞄』というのがあって、そっちではツキコが号泣して終わるらしい。
悲しいのはわかるけど、そんな当たり前なエンディングにしてどうするよ。
それまでのツキコとセンセイのやりとりがあまりにももどかしくて物足りな過ぎたから、見てる人に「あぁやっぱり好きだったのね」と納得させなくちゃと入れた、黄門様の印籠サービスもどきとしか思えない。
泣くよりも泣かない方が悲しいと感じることもあるのに。
by adukot_u3 | 2013-08-28 22:27 | 書籍
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