小室直樹『資本主義講座』



YouTube(1:14:18)

わかりやすい。
なんちゅーわかりやすい話だ。
福沢諭吉は猿に読ませるつもりで本を書けと言ったらしいが、日本の政治家さんたちはいったい誰に向かって話しかけてるんだろう。

石井紘基氏の『日本が自滅する日―「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす! 』という本で、日本の経済的な構造が崩壊前のソ連とそっくりな状態にあるらしいことはわかった。
じゃぁなんでそんなことになっちゃったのか?
それを知りたくてこの動画を見てみた。(動画だと思ったら音声だけだった)

話を聴いて目から鱗が落ちた。
この人天才!
ほんの1時間ちょっとの話しで表現は極めてやさしいのに、そこには経済学、社会学、行動心理学、人類学、宗教学などがモリモリ詰め込まれている。
小室氏は著書『ソビエト帝国の崩壊』でソ連崩壊を10年以上も前から予言していたと言われたが、あれば単なる予言なんかじゃなく分析結果だったんだな。
こんなにすごい人なのに、ぜんぜん上から目線じゃないのもすごい。

世の政治家や経済評論家、学者、専門家の話を聞いても、ちっとも理解できないのは、わたしの知識不足は当然だが、彼らの話があまりにも狭いせいもあると思う。
今の時代、世界と深く繋がった「国」という複雑なシステムに本当にちゃんと対峙しようと思ったら、専門がひとつじゃきっと無理なんだな。
政治をやるなら経済にも明るくて、英語とITぐらいは使いこなしてもらわないとな。

立川談志師匠は、この小室氏を勝手に師と仰いでいて、場違いな自分のテレビ番組に担ぎ出すことがよくあった。
そのお陰でわたしは早くから小室氏を知ることができたのに、当時は難しい話を飄々と話す不思議な学者さんとしか思えなかった。
イギリスの小説家コナン・ドイルが『人々は自分たちが理解しがたいことを嘲笑する』と言ったが、わたしにも、そういうところがあったのは否めない。
小室氏のすごさを今ごろ知ったというのに、昨年亡くなってしまったのは残念でたまらない。
門下生(社会学者の宮台真二氏、評論家の副島隆彦氏、社会学者の橋爪大三郎氏など)がたくさんいるのがまだ救いか?


小室直樹『資本主義講座』超はしょりメモ

日本の経済の現状
●予算=約90兆円(半分は借金。その借金も半分は借金返済に消える)
●国の借金=900兆円超【日本の借金時計
(石井氏は10年前の時点で軽く1000兆円を超えていると言っている)
●予算の4倍ほどの闇の特別会計がある
●対外純資産
=(外国に貸したお金-外国から借りたお金)=124兆円
対外的には経済危機じゃない。
●アメリカの国債のほとんどは日本が買っていて600兆円(経営コンサルタント・大前研一氏

経済危機と言ってるが、それは対国内においてであって、対外的には大黒字。
米国債を売って国内の赤字に当てりゃいいのにそれをしないで増税。
これが日本という国の経済の現状だ。

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ソ連が破綻したのは社会主義の欠点を見なかったから
ソ連は、弱肉強食で失業者がたくさん出て貧富の差が激しくなるから資本主義は良くないと批判した。
これは正しい。
しかし社会主義にも、サボる・計画できない・競争力がないという欠点がある。
ソ連はそれについては研究しなかった。
だから破綻した。

ロシアが破産したのは本当の資本主義になれなかったから
ソ連はロシアになってがむしゃらに資本主義に突き進み、一時はアメリカに次ぐ経済大国になった。
当時、技術が発達して資本が蓄積され、商業も盛んなら、自然と資本主義になれるものだと西側のエコノミストすらそう思っていた。
しかし、実際にできたのは資本主義市場ではなくマフィア経済。
資本家ではなくギャングの親玉が出てきたのだ。
資本家とギャングの違いは倫理があるかないか。
結局、倫理のないロシアは資本主義にはなれず破産した。
ギャング、マフィア───倫理がない
資本家─────────規範性、道徳性、規範性がある
(死の商人や奴隷商人などは、規範を守らない特別な例)

本当の資本主義になるために必要なのは「正直さ」と「合理性」
(1)労働は宗教儀式であるという考え方⇒正直さ
(2)目的を達成するための合理的精神⇒合理性

これがないと経済がどんなに良くてもなれない。
資本主義になるのは、実はかなり難しい。
中国の春秋戦国時代は、いつ資本主義になってもおかしくない状況だったが、それよりはるかに遅れていた英国の方が資本主義になった。
中国には(1)と(2)が欠けていた。
社会主義国
=官僚が企業の上に立つ。失業と破産がない⇒停滞と無駄
資本主義国
=公的企業、私企業は別。失業と破産がある⇒競争激化

資本主義と社会主義の違いは、失業破産があるかないか。
資本主義の本質は激烈な自由競争で、競争に負けた企業は即破産し、労働者は失業する。
社会主義は封建時代、資本主義は戦国時代のようなもの。

日本は資本主義ではなく資本主義に見せかけた社会主義
明治時代、一応は資本主義に向けて発進したが、地主階級を温存した。
それによって民間では地主と小作という経済的かつ人間的な封建主義の下地ができる。
明治維新の際、かつて町人や農民を支配していた下級武士たちが官僚組織にもぐり込んだため、本来は公僕であるはずの官僚にも、民衆を支配するという考え方や倫理が浸透する。

戦争をするために政府は、当時極めて技術の低かった航空産業に対して、「大蔵省が責任をとる代わりに銀行から無制限に融資させる」という金融政策をとった。
以降、株や社債など証券を売って資金調達をする直接金融から、銀行がお金を貸す間接金融が主流となる。
この、「戦争を遂行するための官僚主体の、金融システムを媒介とした、隅から隅まで官僚が支配する一種の社会主義経済」が後の日本の経済政策の原型となる。

諸悪の根源は資本主義に見せかけた社会主義と官僚の汚職
戦後アメリカは、日本の軍部・財閥解体、農地解放はしたものの、官僚による金融システムを通じての経済支配には手を触れなかった。
官僚が益々経済支配を強めた日本は、朝鮮戦争特需によって経済大国に向かって歩き出す。
米ソ冷戦により、日本を同盟国として利用しようと企むアメリカに軍事を任せ、日本は経済成長だけに専念し、経済黄金時代を迎える。
ここで、金融を支配する官僚の変節によって経済が傾き始める。
依法官僚制
 =官僚は公僕であり、国の財産と私的財産は別。
家産官僚制
 =官僚は個人的な信頼関係によるもので、国の財産と私的財産の区別がない。
日本に階級制度があった頃は、高級官僚になることは周囲の期待があり、それに応える責任感や倫理感があった。
しかし戦後、試験に合格しさえすれば誰でも官僚になれるようになると、それらはなくなり特権だけが残った。
日本の官僚は、表面は依法官僚制だが実質は家産官僚制。
国の財産と私的財産の区別がなく、汚職が悪いとの意識もない。
日本は今、資本主義に見せかけた社会主義と、それを支配する家産官僚の汚職によって経済が動かず、政策でのコントロールも利かない状態にある。

経済危機を抜け出すには「市場経済化」しかない
空前の経済危機ではあるものの、日本はとてつもない生産力を持っている。
どんなに需要が増えても、インフレになることなく生産ができる。
だから、国民が持っているお金や巨大な生産力がちょっとでも動けば、この不景気などあっという間に吹っ飛ぶ。

日本が抱える問題は、ソ連が直面した問題とまったく同じ。
市場経済ではなく官制計画経済だから市場原理が働かない。
それを市場経済にすることができれば日本は経済危機を抜け出せるが、できなければソ連と同じく破綻する。

これを知って目の前が真っ暗になる人もいるだろう。
しかし、わたしは闇雲に絶望するつもりもないし、根拠のない希望を持つつもりもない。
ただ、わたしたちが置かれた現状を知りたいだけだ。
何事も現状を直視することから始まるんだから。
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by adukot_u3 | 2012-12-14 01:25 | 政経・社会

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