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辛島美登里「トーク&ライブ」
「ずっと前から聴きたいと思いつつなぜか行けずにいたシリーズ 第2弾」
⇒(第1弾:【因幡晃ライブ in 鎌倉『歐林洞』】)

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場所は鎌倉市大船にある鎌倉芸術館小ホール。
小というわりにはキャパが600席もある立派なところだった。
「トーク&ライブ」は、辛島さんがひとりでピアノの弾き語りをするという形式のコンサート。
トーク中心の前半は、客席に向かった椅子に腰掛けて喋りながらそこに2,3曲挟む感じで、歌が中心の後半は、曲と曲の合間にピアノの椅子に座ったまんまでトークを挟む。
ライブハウスじゃないけど、ちょっとそれに近い雰囲気だ。

「○○代のひと~」と客席に向かって呼びかけられたので手を上げてみたら、お客さんは、30代までが数人、40代が数十人、50代以上が圧倒的多数だった。
実際の年はわからないけど、おじいさんのように見える男性もけっこういた。
昔OLで、辛島さんの曲に涙した人たちがもっと来てるかと思ったのでちょっと意外だった。
場所が東京じゃなく大船だったからか?

初めて見たナマ辛島は、とても可愛らしい人だった。
トークも、意外におもしろくてびっくりした。
もちろん芸人さんのようなおもしろさではなく、へぇ~そんな風に考えてるのかとか、こんな小さなことにこんなに色々なことを感じてるのかとか、表現の仕方がおもしろいなぁとかそういうこと。

中でも印象に残ったのが、デビューが音楽業界ではかなり遅い28歳で、なんにつけ人より10年遅くてのんびりしているという話。
奈良にいた大学生の頃には、あのバブリーなオールナイトフジ全盛の女子大生ブームだったにもかかわらず、遊びに行くみんなとは反対の電車で、地味にあじさい寺などのお寺巡りをしていたらしい。

とっさに、前に読んだ有名な数学者の先生の本に書いてあったことを思い出した。
『人間は渋柿の枝に甘柿の枝をついだようなもの』であり、とにかく早く育ちさえすればいいという今の教育では、早く成長する渋柿の芽に甘柿の芽の発芽が抑えられてしまう。
『すべて成熟は早すぎるより遅すぎるほうがよい』
⇒『春宵十話』/岡潔(数学者)

辛島さんの感性は、そういう浮っついた時代にみんなとは違うことをすることで、独自に熟成されて行ったんじゃないんだろうか。
なんとなくそんな気がした。


刑務官をしている小学校時代の同級生に頼まれて女子刑務所に慰問に行った話にも、とても考えさせられた。
受刑者は名前ではなく番号で呼ばれ、「座れ」「歩け」「黙れ」など刑務官は常に命令口調なこと。
彼女たちは罪を償う立場であって、楽しんではいけない。だから演奏中は「楽しんで」とか「ありがとう」とか言わないでと刑務官の友達から事前に釘を刺されたこと。
長い刑期を終えた受刑者が出所するとき、名前で呼ばれることや命令でなく自由に行動できることに号泣することなどなど。

罪を犯した彼女たちが人権を制限されるのは仕方ないとしても、国という他者が、ひとりの人間の人権を制限するってどういうことなんだろう?ちょうど選挙の前で、安倍さんが提案していた憲法改正案を見たばっかりだったので、改めて考えてしまった。

数年前には認知症のお父様を亡くされたそうで、同じくパーキンソン病の父を亡くしたわたしとしては、あぁこの人も身近な人が壊れていくあのやるせなさを直に経験した人なんだなぁと、勝手に親近感が湧いた。
生きているときよりも、いなくなってからの方が思い出す機会が断然多いという話にも、やはりそうかと激しく納得した。


辛島さんは51歳になるそうだが、ぜんぜんそうは見えない。
肩に余計な力が入ってなくて自然体な感じ。
ちゃんとしたお家で育った人なんだろうなという感じが話し振りからもよくわかって、とても好感が持てる。
20代のころから聴きたいと思っていたのに、どうしてこんなに月日がかかってしまったのか自分でもよくわからないが、今聴けて良かったかもと思った。
歌と一緒に刑務所や認知症の話を聴けるコンサートなんて、20代や30代のジャリタレには逆立ちしたってムリだし。


肝心の声はもっと変わってなくて驚いた。
『サイレント・イブ』の頃とまったく変わらない。
最近は譜割りのヘンな歌が多いからか、歌詞がきちんと聴こえて、クセのない丁寧な歌い方は、それだけでなんだかとても落ち着く。
それと、華奢な体に似合わずピアノもものすごく力強くて上手だった(あたりまえだけど)。

素晴らしいと思ったのは、『サイレント・イブ』を春でも夏でも1年中歌っているらしいこと。
アーティストによっては、もう昔の歌は歌わなかったり、聴く方は「なんだかな~」なのにアレンジ変えまくりで気持ちよく歌ってたりする人もいるが、辛島さん曰く「聴きたいと言われればいつでも歌う、街のケーキ屋さんみたいでいたい」そうだ。
ちょっと感動した。

当たり前のように歌っているが、あの声を維持するというのは、きっととても大変なことなんだろう。
どうか喉を大事にして、『サイレント・イブ』のほかにもたくさんあるいい曲を、歌い続けてもらいたい。

ライブの様子が辛島さんのブログにアップされていた
途中でバンザイしてるのはアンコールだから。どっかの怪しい新興宗教ではない。

直近の辛島さん⇒【辛島美登里メッセージ(4:32)
by adukot_u3 | 2012-12-01 17:52 | TV・音楽
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