東急東横線に「新丸子(しんまるこ)」という駅がある。
今まで「ちびまる子」に似てるなぁぐらいにしか思わなかったが、図書館にあった地域史の展示資料を眺めていたら、古くは丸子(まりこ)という地名で、東横線の駅名が「しんまるこ」になったのを機会に、地名も「まるこ」に変えたことがわかった。
じゃぁ元々の丸子(まりこ)はどっから来てるのかというと、一帯に椀子部(まりこべ)という、金椀や木椀の食器作りをしていた人たちがたくさん住んでいたからだという。
むむむ、「金椀」という字、どっかで見た。
読み方はたしか「かなまり」。
どこだっけ・・・ググってみたら、あった!
枕草子の「あてなるもの」に出てくる、
「削り氷(ひ)にあまずら入れて あたらしき金椀(かなまり)に入れたる」
(「あたらしい金のお椀に入れたかき氷って上品だわぁ~」という意味)
こういうとき、ネットの威力に感動する。
椀子部(まりこべ)さんが住んでたから丸子(まりこ)になって、電車が通って「まるこ」になった。
で、椀子部(まりこべ)さんたちが作ってたお椀は、枕草子にも出てくる金椀(かなまり)のことだった。
べつに何の役にも立たないけど、こういうふうにつながると、なんだかすごく嬉しい。
ただし、枕草子の時代にはまだ関東は拓けてないので、丸子(まりこ)の椀子部(まりこべ)さんたちはいないだろうけど。
ちなみに清少納言が、上品だと言ってるあたらしい金のお椀に入れたかき氷。
宮中では6月30日に「氷室(ひむろ)」の氷を取り寄せて暑気を払ったらしいが、当時そんなものを食べられるのは上流階級のほんの一部の人たちだけ。
庶民は、和菓子を氷に見立てて食べたそうだ。
今も京都に残る「水無月」という目にも涼やかな和菓子がそれだ。