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ドキュメンタリー『イエローケーキ~クリーンなエネルギーという嘘』
ウランは掘り起こすだけで被曝者を生む。世界は相も変わらず、危ないものを貧しいところに押し付ける差別社会なのだ。


知らなかった。
旧東ドイツには、地図にも載っていない広大なウラン鉱山が存在することを。
そしてそこから掘り出されたウランが、かつてのソ連を支えていたこと、カナダにも広大なウラン鉱山があって、それがアメリカを支えていたことも・・・。
この2つの国の争いが、いろんな国を振り回して来た。
その元凶・・・それがイエローケーキだ。
ウランを精製し固めたもので、黄色い色とケーキのような形からそう呼ばれている。

原発事故以来、テレビをやめ、原発についてのいろんなものを見たり聞いたり読んだり人に訊いたり足を運んだりしてきた。1年かかったが、理屈の上では原発が選択肢としてあり得ないことはもうわかった。
このドキュメンタリーがダメ押し。
しかし、巷では1年経ってもまだ相変わらず絵空事を言ったり、不毛な議論をしている。
そんな何の進歩もないものに付き合わされるのは、もううんざりだ。

旧東ドイツ・オーストラリア・カナダ・ナミビア。
これらは世界に名だたるウラン鉱床を持つ国々だ。
このうち旧東ドイツは、民主化した時に鉱員の健康調査をしたところ、ありえない数値が出て、ウランが枯渇する前に閉山した。閉山すれば終わりというわけではなく、未だその後処理は続いている。
採掘の際に使用された水のせいで、辺りは湿地帯か溜池のようになっていて、広大な土地が使い物にならなくなっている。かつての鉱員も多くの人が亡くなっている。

今、世界最大なのはナミビアだ。
3階建てのビルほどもありそうな、バカでかいトラックでどんどん運び出している。
稼げるからという理由で、なんと女性もいる。
毎月必ず誰かが病気で倒れているが、作業服はなく、マスクをするわけでもなく、どれだけ被曝したかすら知らずに働いている。
経営者側もしかりで、ウランを単なる鉱物のひとつとしか見ていない。
金鉱脈が見つかったと同じ感覚で、自分の生活がこの先いかに安泰で豊かになるかにしか興味がないようだった。

でもウランは掘り起こされた土のたった1%。
残りの99%は、いったん山のように積み上げられた後に再び埋め戻される。
もちろん例え1%とは言え、いったん掘り起こされた土は立派な放射性廃棄物。
こんな効率の悪いこと、なんでやってんの?
逆に、こんなに効率悪いことをしても儲かるなんて、いったいどんだけ値段を吊り上げてんの?って感じ。

母なる大地から心臓をえぐり出してはならない
それは灰の詰まった瓢箪と化し
やがては世界を破滅に導く──────
アメリカ・インディアンのホピ族の予言

これは、原子爆弾のことを指していると言われているが、それだけじゃなく、欲に駆られて自然のバランスを崩すなよという警告のようにも思える。

かつてウラン採掘で栄えたカナダのウラニュウムシティーでは、再びウランを採掘して豊かな町になろうという動きがある。ここでも女子学生が、非常に無頓着にウラン鉱石を扱っている。
救いは、オーストラリアのアボリジニが、一旦許可した採掘権を取り戻したことぐらいか。

結局、貧しいところにはいつも危険がつきまとう。福島と東京は世界の縮図だったのだ。
ウランは石油や天然ガスよりも埋蔵量が少ないうえに、チェルノブイリや福島のように事故なんて起きなくても、ただ掘り起こすだけで被曝者を生む。
鉱員に被曝させ、原発で働く人や周辺住民にも被曝させ、いったん事が起こればとんでもない数の人に被曝させ、土地は使えなくなり、ゴミは2万4千年もの間放射線を出し続ける。
それが核兵器なら、敵味方関係なく被曝者を生み、後遺症で苦しめる。
日本では原発事故が起きても直ちに影響がないと言って避難もさせず、満足な賠償もせず、責任もとらず、安全もそこそこに再稼動させる勢いだし、原発を輸出しようとすらしている。
こんなもの、とても正気の沙汰とは思えない。

しかし、いったん広げてしまった風呂敷は、簡単にはたためない。
入れ子状態の危険と安全は、今も世界のあらゆるところにあるが、現在世界の原発は427基(2012/05/30 THE WALL STREET JOURNALl)。
推進することで利益を得る人々は高みの見物気分なのだろうが、今やどこに行っても、放射性物質の出ないところなんてたぶんない。

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わたしの中ではもう脱原発という方向性は決まっている。
先進国もこの先、徐々に脱原発に向かうかも知れない。
でも新興国はきっと、原発をどんどん建てて発展しようとするだろう。

3階建てのビルにも匹敵するようなバカでかいトラックがゴマ粒のように見えるほど広大なナミビアの採掘場、脱原発などどこ吹く風で、ナミビア鉱山の株式の10%を取得する伊藤忠商事。今現在、46カ国から食品の輸入規制を受けている日本。
もろもろを考えると、暗澹たる気持ちになるのだ。


「イエローケーキ」監督インタビュー『カタログハウス』の監督インタビュー
by adukot_u3 | 2012-06-02 17:46 | 映画
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