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ドキュメンタリー『幸せの経済学』
ドキュメンタリー『幸せの経済学』_f0046622_195240.jpg見逃したとガッカリしていた『幸せの経済学』、早稲田の大隈講堂で1日だけやってたので、はるばる行ってきた。
ここは、演劇にも使える講堂をと設計されたそうだが、外はそうでもないけど、中がクラシカルで重厚な雰囲気。さすがの重要文化財だ。映画とはなんにも関係ないけど…。

インドの最北部にあるヒマラヤの辺境ラダック
そこは30年前までは外国人立入禁止地域で、外界とは接触せず、自給自足で静かに暮らしていたところだった。
ところが、急速なスピードで世界的に広がった近代化の波は、ここにも押し寄せ、あっという間にマンションが建つような都会になってしまった。

自然と共存する伝統的な生活スタイルは一変、人とのつながりやアイデンティティーも希薄になって行く。
数十年前、「この街に貧乏な人はいません」と言っていた人たちが、あっという間に「わたしたちは貧しいので外国からの支援が必要です」と言うようになった。
この映画の監督でもあり、言語学者でローカリゼーション運動のパイオニアでもあるスウェーデン人のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんという女性は、そんな近代化の波に翻弄されるラダックの人々の様子を映しながら、本当の幸せや豊かさとは何か?を説いていく。

彼女いわく「本当の幸せや豊かさは、ローカリゼーションにある」のだそうだ。
ローカリゼーションとは早い話が、遠くからわざわざ運んで来たものじゃなく、その土地のものをその土地で消費する。
そういう生活のしくみのことを言うが、それによって、人と人、人と自然とのつながりを取り戻し、地域社会の絆を強めていくことができるのだと言う。

実際に世界のあちこちでは、持続可能で自立した暮らしを目指すコミュニティがある。
映画の中では、日本の埼玉県・小川町やキューバで起こったオイル・ピーク(ソ連崩壊と米国の経済制裁で石油の輸入が激減したが、なんとか立ち直った)が取り上げられていた。

内容自体は、なるほどと納得することばかり。
ただ、グローバリゼーション悪い!ローカリゼション良い!と、矢継ぎ早に列挙されるのは少々疲れる。
そんなに列挙してるわけではないのかも知れないが、少なくともわたしはそう感じた。
ほんとにいいものでも、営業マンに「これいいですよ、これいいですよ」と言われ続けると、「ほんとかいな」と疑ってしまう、そんな感じ。

この映画を観たかったのは、震災の影響や内容への興味も少しはあるが、サイトのトップページの女の子2人があまりに素朴で可愛らしかったから。
幸せの経済学

(写真提供:ユナイテッドピープル)
子供のころ、こういうほっぺたが赤くてはにかみ屋の女の子っていたなぁ。
服の袖口がちょっと汚れてたり、髪の毛が寝癖ついたりしててもべつに誰も気にしない。
そんな時代がちょっと前にあったなぁと懐かしくなったからだ。
今そういう子がいたら、いじめられちゃうかもな。

原発をなくしたら、今の豊かな生活が維持できない→原発推進という理由で賛成する人がいるが、石炭も石油もウランも、結局のところ使えばなくなるものだ。
いくら豊かな生活を手放したくなくても、そういうものに依存する生活は、いずれは変えなくちゃならないのだ。

実はこの映画を観て一番驚いたのは、キューバのオイル・ピークのことだ。
YouTubeで『Cuba's Economic Cricis The Special Period』というビデオ(英語の字幕つき:英語わかんないけどなんとなくわかる)を見つけた。
わたしはこのことを全く知らなかった。
これって世界的に有名なこと?


かつてキューバは、ソ連崩壊と米国の経済制裁で石油の輸入が半減。
GDPは3割減。影響で食糧危機にもなって国民の体重は平均9キロも減ったそうだ。
アパートのエアコンやエレベーターは動かなくて、水はバケツにいれロープで引き上げる。トレーラーが牽引するドでかい通勤用のバスは3時間に1本で混み混み。

大規模機械農業は、牛や馬の糞尿満載の有機農業に変わり、地域社会は自転車で行き来できるぐらいに小さく分散。
エネルギーも食糧も地産地消の自給体制に切り替え、なんとか切り抜けたのだ。

今のキューバは、消費エネルギーは1/8なのに平均寿命はアメリカ並み。
1000人当たりの医者は57人と米国の2倍で、教育も医療も無料。
苦労した甲斐あって劇的に変わったのだ。

日本では、火急な問題は石油ではなく原発だが、今のところ原発はまだ電力供給全体の27%だ(経済産業省・日本のエネルギー2010)。
原発がなくなったらトンでもない生活になると言われると、闇雲にビビってしまうが、どうトンでもない生活になるのかまで言及する政治家やジャーナリストは少ない。

単純にキューバと比べるのは乱暴かも知れないが、日本で原発がなくなっても、このビデオを見る限り、石油半分のキューバよりはまだマシな生活ができそうな気がする。
生活のレベルを下げるのは死んでも嫌だと言うような人もいるだろうが、否応無くやっていかなくちゃいけなくなったとして、これなら贅沢が染み付いた日本人であっても、なんとかやって行けるレベルだと思う。
それでも嫌だと言う人には、死んでもらうしかないだろう。
by adukot_u3 | 2011-09-29 01:16 | 映画
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