能登線──────────全長61.0キロ。
昭和34年、
世の中の勢いとともに線路が敷かれ、人々を都会へと運んだ。
昭和63年、
すっかり人を運び終え、役目を終えた路線は、切り離された。
その後、海沿いでのんびり余生を過ごしていた2両編成の車両は1両となり、平成17年、ついに線路はなくなった。
その慌しさはまるで、生き急がざるを得なかった人生のようにすら感じられる。
子供のころ、乗り酔いがひどかった。
こんなにも美しい風景が、あの沿線に広がっていたなんて、全然知らなかった。
この写真集は、わたしが、あの頃の風景を見ることのできる唯一のものだ。
乗り物酔いから解放された今、電車が大好きなのは、その反動だろうか?
あたりまえにあると思っていたもの。
それは、いとも簡単になくなるものだった。
⇒写真集『能登線日和』