人気ブログランキング | 話題のタグを見る
TV『ハーバード白熱教室』
ハーバード白熱教室の写真 お正月の深夜、話題の『ハーバード白熱教室』をやっていたので見てみた。昨年、空前の「正義の哲学」ブームを呼んだと言われる、ハーバード大学・サンデル教授の対話型人気講義の集中放送だ。

 ・・・愕然とした。ハーバード大学が世界でも最もレベルの高い大学だと言うことは知っていたが、こんな授業をしていたのか。
天下のハーバードだから、そりゃ研究は最先端のものだろう、だが問題はそういうことではない。テーマをつきつめて行ったその先にある哲学的な部分について、ここの学生たちは、こんなにも自由闊達に生き生きと議論を戦わせている。そしてたぶん、国の基盤を支えるような人達は、この中から生まれるのだろう。

 「こりゃ負けるわ」と正直思った。どの学生の意見が正しいとか間違っているとかはどうでもいい。テーマについてしっかりと自分の意見を持ち、それを人に伝え、人の意見を聴き、そして考える。その繰り返しでしか考えは深まらないし、鍛えられないのではないか。日本ももはや苦手だとか、奥ゆかしいとか言ってる場合じゃないぞ。

 学生達のやりとりを見て、心底羨ましく思った。きちんと教養を積み上げるとその先には、こんな主体性のパラダイスが待っていたんだなぁ。そこは、ある一定の高みに到達した人だけが行ける♪秘密の花園~のようなものか?徐々に高くなって行く視点からは、途中からそのパラダイスが見えるのかも知れないな。
 「勉強をする理由」がわからず、もんもんと日々を過ごしていた田舎の凡庸な一学生だったわたしには、そんなものはまったく見えなかったが、それも当然と言えば当然か。地べたとスカイツリーぐらい差があるんだろうから。

 ほとんど日本人しかいない日本という国では、異なる価値観がぶつかりあうことは少ない。あたりまえのことをなぜそうなのか?と考える機会もないから、議論を戦わせるという習慣もない。何事も穏便に、あちらとこちらを立てながらなんとかやっては来たものの、ゆがみやひずみは避けがたく、今や修復すら難しい状態にある。多少経済的に豊かになったとは言え、日本はやはり離島の田舎っぺだ。小さいころからスパーリングで鍛えられた、海千山千で手練手管の老獪な世界の国々とガチでやり合うのはかなりきびしいと思う。

 小学校高学年のとき、別のクラスの担任に、他の田舎教師たちとは一線を画す、それこそ目から鼻へ抜けるような才気煥発な女性教師がいた。小学校高学年の男子はまだまだ子供なので、その先生は早熟な「デキる女子児童たち」の信望を集めていた。
彼女たちと廊下ですれ違うといつも、武者小路実篤の著作や三木清の『人生論ノート』など、見たことも聞いたこともないような難しい本を持っていた。
それを強烈に羨ましいと思いながらも、「なんだか鼻持ちならない」とちょっと距離を置いたせいでわたしはその後、もったいないことに、本というものからも遠ざかる結果になってしまった。

 その後、遠回りをして再び本を読むようになったが、いろんな問題はつき詰めて行くとやはり、この白熱教室のテーマのようなことをいったんガッツリと考えないと事が進まないことに、ここ数年気づき始めた。
そうしたところにこの白熱教室。いまどきの内輪ウケのお笑いや、堂々巡りの政治談議よりも断然面白い。必見!と言っても放送はもう終わっているので、DVDか、NHKオンデマンド、Youtubeで。
by adukot_u3 | 2011-01-12 07:38 | TV・音楽
<< トン太郎 宝塚歌劇 『誰がために鐘は鳴る』 >>