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あわただしいお盆
実家のお盆はとにかく面倒くさい。ニュースでよく、田舎でのんびりお盆休みの様子が映し出されるが、うちのお盆は実は休みの中で最もあわただしい。まずは仏壇・仏具磨き。そして、一汁四菜の小さな御膳をこしらえて仏壇に供える。

13日に墓に行き、お供えものをして花を手向け、その足でお寺に行って、位牌にもお供えと花。でもってまたまた14日にも行って墓と寺の位牌の花を替える。13日と14日では、花の種類が違うからだ。

私「こんな面倒くさいしきたりは、絶対にそのうちなくなるよ」
母「私が達者でいるうちはやる。お前はお前の好きにしなさい」
こうして毎年同じ文句を言いながら準備するのが恒例となっている。

あわただしいお盆_f0046622_2141523.jpg墓地のそばに、もう誰もお参りに来ない古い墓が集まっている区域がある。
半分落ち葉と土に埋もれてはいるが、よくよく見ると土台も高くてしっかりしている。
昔はきっと立派なお墓だったに違いない。
このあたりには、この墓の他にも、もう原型を留めていない漬物石のようにまぁるくなってしまったものが、ゴロゴロと転がっている。

わたしは子供のときから墓参りに行くたびにこういう風景を見ていたので、墓というものは、人の都合によってピカピカに磨き上げられたり、漬物石になったりするものなんだと思っていた、妙に冷めた子供だった。

不思議なのは、墓に行くときには必ずこの界隈を通るのに、みんなまるでそんなもの存在してないかのように知らんふりで通り抜け、自分の墓の前に来てはせっせと掃除をし、やれ御影石がいいだとか、目がつまったものがいいとか、白いのがいいとか黒いのがいいとかいう自慢話をする。

うちの近所なんて、みんな都会に出てしまっていて老人しか残っていないから、どう考えてもそれが維持されるとは思えないのに、さも功徳を積んだかのように満足げに話す人たちを見ていると、墓はやはり生きている人のためにあるんだなぁとつくづく思う。
by adukot_u3 | 2011-08-24 21:01 | 日々雑感
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