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ランプの宿と珠洲焼(すずやき)
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能登半島の突端に、ランプの宿というかくれ家的人気の旅館がある。幹線道路を折れ、すれ違いもおぼつかない山道を抜けた先の断崖の下、自給自足が出来れば、一生外界と接触を持たずに暮らせそうな感じの場所だ。

今回の目的は宿泊ではなく、近くの山にある、自然の風が崖を削って仏像のように見える「千体地蔵」見物だったが、ついでだからと、宿にも見物がてら寄ってみたら・・・ランプの宿は、バリ島のリゾートホテルと忍者寺を足して2で割ったようなテーマパーク風になっていた。見晴らしのいい断崖には、「日本3大パワースポット」という聞いたこともない看板と共に、真新しい展望台と土産物屋、駐車場には県外ナンバーの車がたくさん止まっていた。

昔々の、ほんとに鄙びたランプの宿だった頃とは違って、最近は旅行雑誌にも頻繁に登場し、若い女性に人気らしいことは聞いていたが、まさかここまでとは・・・。
空中展望台まではともかく、サイトにあった黄金マスクでエステには正直ちょっとひいた。
でもそれは、わたし個人の趣味の問題であって、こんな電車も通っていない半島の突端に、県外ナンバーの車を連れてくるご主人の商才には脱帽するし、そういうのが好きな人は、不思議な異空間の魅力を楽しめる宿だとは思う。

とは言え、あんまりビックリし過ぎたので、当初の目的だった「千体地蔵」には行かずに、地元の友達オススメの珠洲焼の窯元&ギャラリーに行き先変更!
珠洲焼とは、戦国時代に忽然と姿を消し「幻の古陶」と呼ばれていたが、近年、400年の時を経て再び蘇った焼物。ここは、典座(てんぞ)という古民家レストランでもあるので、予約をすれば食事も出来る。ただしこの日は急に行ったので、当然食事はナシ。

ランプの宿と珠洲焼(すずやき)_f0046622_0245699.jpg趣のある古い建物と、珠洲焼の数々、美しいお庭、かわいい犬のコロに癒される。囲炉裏端で、物静かなご主人のお話を伺っていると、どうも能登にはあまりいない、知識人の匂いがするなぁと思ったので、帰ってから調べてみると・・・なんと、元編集者の方だった。
そして、珠洲焼のプロモーション映画にも出演していらっしゃった。

珠洲焼は、素朴で力強い美しさが魅力だ。前に見たときには、ただの黒っぽい無骨な焼物にしか見えなかったが、今回は、その地味な色合いや素朴さや力強さが、日常を生きる力強さにも思えて、とても魅力的に映った。やはりあの震災が影響しているのだろうか。

最近は、若い作家さんや、移住してきた作家さんもいて、また新しい魅力が引き出されたように思う。ちょうど花瓶に活けられていた「のときりしま」という深紅のツツジが珠洲焼の渋い色合いと相まって、いっそう鮮やかだった。

ちなみに展望台の先にいる人は他人。
by adukot_u3 | 2011-05-15 00:24 | 能登半島
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