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祖母の墓参り(2)
 母が温泉から帰ってきた。案の定、昔話に花が咲いたようだ。その中で、最も盛り上がったのが、お店のみんなに「おとっつあん」と呼ばれていた、じいちゃんのことだったそうだ。

 マイペースでアバウトな性格のばあちゃんは、お弟子さんたちに美容のことは教えても、行儀作法にはとんと無頓着だった。そこで代わりに教育係として活躍していたのがじいちゃんだ。挨拶から掃除の仕方から、それはこと細かく指導していたらしい。

 じいちゃんは、何事もアバウトなばあちゃんと正反対に、とても几帳面できれい好き。お弟子さんたちは、さぞ口やかましく言われて閉口しただろうと思いきや、今ではとてもありがたく思っているそうだ。

 あっ、そこで気づいた。わたしもみなさんとおんなじだったんだ・・・。
じいちゃんは、行儀作法にはそれはそれはうるさく、特に食事のときなど、一瞬でも足を崩したりひじでもつこうものなら、従業員でも孫でも関係なく、容赦なくドツいていた。

 晩年は足が悪く、茶の間に座ったまんまだったが、孫の行儀悪さは見逃さず、座椅子の後ろに隠したアルミのパイプで、わたしたちはしょっちゅうスネを叩かれていた。あまりに厳しいので、じいちゃんが亡くなったときには、正直ちょっとホッとしたぐらいだった。

 厳しいだけだと思っていたじいちゃんだったが、わたしもそこそこトシをとるにつれ、あれがあったからこそ、跳ねっ返りだったわたしでも、なんとか行儀良く食事ができるようになったのかなぁと、じいちゃんに感謝するようになった。

 今回の、お弟子さんたちの感想を聞いてよくよく考えてみて気づいた。じいちゃんは孫だけではなく、誰に対しても厳しかったこと。生活の全てがお店を中心に回っているような家では、子供も孫も嫁もお弟子さんも一緒だったことに。
 そういえば、入れ替わり立ち替わり必ず誰かが食事をしていた茶の間のテーブルには、まるで場末の食堂のように、箸立ての中に茶色い塗り箸がぎっしり詰まっていたっけ。その意味がやっとわかった。
by adukot_u3 | 2010-11-20 18:59 | 日々雑感
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