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30年後の『革命』
30年後の『革命』_f0046622_21182515.jpg 日曜日、ピアノのリサイタルにお誘いいただいたので、すみだトリフォニーホールに行ってきた。
 『ラリグラスの会・チャリティーコンサート』にも出演していらっしゃる重森忍さんと高橋いづみさんによるジョイントリサイタルだ。

 このホールは東京の東の端、錦糸町という駅からほんの1分ほどのところにある。昔からの歓楽街だが、駅周辺は、街路樹やロータリーが整備され、こういう施設も出来たことでかなり文化度UPな感じ。

 でもわたしの中の錦糸町のイメージはと言うと相変わらず、かつての勤務先の営業の人がネタでよくやっていた、『うぐいすだにミュージックホール』という笑福亭鶴光の歌(?)だ。
 「快楽の神秘~悦楽の境地」とか「錦糸町フランス座からお越しいただきました、かもめのケイ子、かもめのヨウ子の大レズビアンショー」とか言うフレーズをいまだに思い出してしまう(笑)
 そんな錦糸町でクラシックコンサートが聴けるなんて・・・いやはや隔世の感アリアリ。
 しかしわたしは、クラシックと、フランス座の根っこは結構おんなじじゃないか?と思っているので、あんまりオシャレになったり、文化的過ぎるのは実は好きじゃなかったりもする。



 そんなこと言いつつも、久々のピアノリサイタルはやっぱりいいなぁ。
 音がちゃんと空気を伝わって耳に入ってくる、あの感覚が好きだ。どんなにイヤホーンの音質が良くなったと言われても、音源から鼓膜までの距離がほとんどないあの圧迫感は好きになれない。

 ピアノは「弾く」と書くけれど、上手な人が弾くと、なんか鍵盤の上を滑っているように見えるんだなぁ。
 いろんな曲の中、やはり知っている曲だとテンションが上がる。
これとかこれとか。(←YouTubeに飛んじゃいます)

 特に「革命」なんてそりゃもう・・・と思っていたら、ずーっとずーっと前、もう30年も前のすっかり忘れてしまっていたことを思い出した。
 中学、高校で一緒だった同級生のことだ。(と言ってもウチの田舎の場合、中学~高校が一緒の人は≒150人は居る^^;)

 彼女は、数学が抜群に出来る人だった。数学が大の苦手だったわたしにとっては神様みたいなものだ。事実わたしは彼女のことを、密かに天才だと思っていた。
 あるとき、テストだけはなんとかやり過ごそうと、彼女のところに教えてもらいに行くと、一冊の本を出して来て、大真面目に「これを読むとどんな問題でもだいたい解けるようになるよ」と言うのだ。
 本のタイトルは『数学的な考え方』・・・。あのぉ~今そんなことしてる暇ないんですけどぉ・・・。

 とりあえずテストは何とか乗り切れるぐらいのレクチャーを受けたあと、お茶を飲んでいたときだった。
 突然、彼女がアップライトピアノの蓋を開けて一心不乱に弾きだした。それがこの『革命』だった。 
 普通だったらぶっ飛ぶところだが、彼女は普段からぶっ飛んだ行動が多かったので、さほど驚かなかった。ただ、その一心不乱ぶりを見て、この人はタダ者じゃないなと思った。

 それから数年後、彼女は自ら命を絶った。もし生きていたら、どんな人生を歩んだだろう。あんなに頭が良くて純粋で、常識にとらわれずぶっ飛んだ人には未だ会ったことがない。
 彼女の将来を見てみたかったなぁ。そんなことを思いながら、立派なホールを後にした。
by adukot_u3 | 2010-09-28 21:14 | 日々雑感
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