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『水で書かれた物語』
『水で書かれた物語』_f0046622_9464825.jpg 久々に昔の邦画を『ラピュタ』という映画館で観た。
映画館と言っても50席しかなく、こんなんでやって行けんのかなぁ?と心配になるぐらいちっちゃい。まるで試写室。でも、なんだか隠れ家みたいで、とても居心地のいいところだ。

 『ラピュタ』という名前のとおり、最初はアニメ映画専門館としてオープンしたが、オーナーが、「日本でありながら、日本映画の名作を上映する映画館が無い事に愕然」として、邦画をメインとした名画座に変えたらしい。うーん、すばらしい心意気だ。
しかし、土曜日にもかかわらず、観客は1/3ほど。しかも、ほとんどが60~70代。先行きが心配だ。わたしはもらったタダ券だし・・・(-_-;



 今回選んだのは「石坂洋次郎の映画アルバム」という特集の中から『水で書かれた物語』。石坂洋次郎原作の映画は、石原裕次郎とか吉永小百合主演の青春群像ものが多くて正直、「う~ん・・・あんまり」だったが、なんたって主演:岡田茉莉子!これがわたしを呼んだ(笑)
常日頃、彼女のあまりの目ヂカラに、一度じっくりと映画に出ている姿を観てみたいと思っていたのだ。岡田さんのご主人でもある吉田喜重監督の作品も見てみたかったし。

 その岡田茉莉子さん、そりゃもう当然美しいんだけど、なんかもう別の世界というかあの世の人みたいな感じ。色気とかそういう単純なものじゃなく、妖気というか霊気というか、なにか得体の知れないモノを体から出してる(笑)

 で、吉田喜重監督の撮り方がまた独特。前衛的って言うんだろうけど、現実と回想シーンがしょっちゅう行ったり来たりする。横たわった岡田さんの顔を、天井から見下ろすように大写しにしてそれをぐるーっと180度回転させたり・・・。映像がモノクロなので、白い顔が能面みたいでちょっと怖い。

 話は『幼いころに父を亡くし、母(岡田)と二人暮らしの息子が、資産家の娘との結婚が決まったものの、「父が病床のころから母とその資産家が愛人関係にあった」という噂を耳にして、自分と結婚相手は異母兄弟ではないかと疑うようになるが・・・』というものなので、普通にドロドロしていていやらしいはずなのに、なぜかいやらしくない。そういう愛憎を冷めた目で遠くから見ているような、そんな感じ。

 劇中、岡田さんがさしている、薔薇の花を刺繍した日傘が美しく、とても印象的だった。息子の思いとはうらはらに、母も女であることを象徴しているかに見える。そんな吉田監督の作品は、パリで大人気だそうだ。

ラピュタは、駅前の猥雑な飲み屋街を抜けた住宅街に忽然と現れる。
そして、都内には珍しく、この一角だけは道路が舗装されていない。
そんな素敵な映画館が末永く続きますように。
by adukot_u3 | 2010-02-28 09:46 | 映画
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