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呉竹文庫
呉竹文庫_f0046622_17152295.jpg 「秘密のケンミンSHOW」という番組がある。
県特有の食文化や慣習を、面白おかしく茶化したりするバラエティ番組だが、たまにそれを見て、いつも不思議に思っていた。遠くてぜんぜん関係ないところの食べもの、ことば、慣習が、ウチの田舎のそれととても似ていることに。

 いろいろ調べてみると、それらはやはり北前船に関係のあるところだった。
北前船は、海路が物流の中心だったころ、北海道を起点に、あちこちの特産物を積んだり降ろしたりしつつ、最終的には京都や大阪に物資を運んでいた、船の形をした総合商社だ。
その最終目的地である大阪の人は今でも、昆布を珍重していたり、とりあえず匂いをかいでからモノを食べがちらしい。それが北前船時代の名残りなのかは知らないが、とても理にかなっていて面白い。

 先週の「ケンミンSHOW」での大阪ネタは、『贅沢したあとには「今日の夕飯は“お茶漬けや”」と言う』だった。ウチの実家でも、ごちそうを食べたり高い買い物をしたあとには、「明日からはおかゆに梅干や」と言ったりする。そういうメンタリティがすごく似ている。

 ここは熊源さんの別邸で、平成元年までは、普通に貸し出しもしていたらしいが、森鴎外や夏目漱石の初版本や貴重本も多いので、その後、町が譲り受けて、新たに「財団法人 呉竹文庫」として公開している。
撮影不可だったが、建物や茶室なども昭和初期の建築で、町の指定保存建造物となっている。

呉竹文庫_f0046622_17155683.jpg こじんまりとして派手さは感じられないが、柾目のいい板があちこちに使われていて熊源さんのモノへのこだわりどころが垣間見れる。
と、説明をしてくれたおばさんが言っていた(笑
こんな地味なところに来るのは、大学の先生や建築家、庭師、船大工など専門家が多く、知識もハンパじゃないので、わたしのような一般の見学者には、その人たちから聞いたことを交えて説明するのだそうだ。
どうりでただの説明のおばさんのわりに、いやにいろいろ知ってるなぁと思った。

 帰りぎわ、どこから来たのかと聞かれ、帰省ついでに寄った話をすると、なんと、ウチの田舎の町にかつてあった2軒の写真館のうちのひとつ、小学校の帰りに毎日前を通っていた竹内寫眞舘(←こう書いてあった)の人だった。
ここから実家まではゆうに3時間はかかる。世間は狭い。

呉竹文庫

呉竹文庫_f0046622_17154667.jpg 北前船のことを調べているうち、本好きな北前船の船主が作った私設図書館があることを知り、帰省がてら行ってきた。
船主のところに養子に入った熊田源太郎、通称:熊源さんは、生来の本好きのため、商売のかたわら買い集めた本を、蔵の中に展示し、一般に貸し出していた。それがこの「呉竹文庫」だ。
蔵書は明治中期から大正・昭和初期にかけての政治、経済、実務書から、哲学、文学、辞書、図鑑、海外のものまで多岐にわたっていて、とても個人のものとは思えない。
昔の本らしく、ほとんどがいかめしい立派な革張りの本なのだが、平気であちこちに赤線が引っぱってあったり、マルがついていたりする。貴重な本を見れるだけでなく、こういうところに熊源さんの本に対する考え方がわかって楽しい。
by adukot_u3 | 2009-08-21 17:16 | 能登半島
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