『辻村寿三郎×百段階段展』

f0046622_113343.jpg 『辻村寿三郎×百段階段展』に行ってきた。
 目黒雅叙園という結婚式場が、東京都の有形文化財の指定を受けたことを記念して催されたものだが、タイトルの字ヅラからしてもう「白石加代子の百物語」みたいで怖そうだ。

 目黒雅叙園ができたのは昭和初期。国内初の総合結婚式場といわれている。
駅から川に向かう恐ろしく急な下り坂の脇にあるここは、坂下の川に近い平らなところには新しい結婚式場やタワーなど立派な建物が並んでいるが、傾斜のきついところは、木々をそのまま残し、ちょっとした森のようになっている。
そのなかにある、昭和10年に建てられたまま唯一現存する木造建築部分、普段は公開されていない秘密の場所が百段階段なのだ。



f0046622_1121380.jpg コンセプトは「昭和の竜宮城」。入り口は、それにふさわしく、螺鈿(らでん)細工のエレベーターだ。
どこかでこういうのに乗ったことがあると思ったら、そうそう、高校生のとき、商店街の付き合いでどうしてもと言われてしぶしぶ行った、和倉温泉・加賀屋での呉服新作発表会だ。あのときもエレベーターの中が、輪島塗と加賀友禅で埋め尽くされていて超ビックリしたっけ。

 ってなことを考えながら通路を歩いていくと・・・
ジャ~~ン!!!百段階段の登場だ。
もっと華麗な、遊郭の階段のようなものを想像していたからか、ちょっと拍子抜け。天井には有名な日本画家たちによって天井画が描かれてはいるが、あとは、古めかしいかつての名料亭といった感じだった。

f0046622_1124672.jpg が、部屋の方に入ってみると・・・あまりのすごさに固まって、お口アングリ・・・・・部屋に入った瞬間に世俗とは切り離され、異空間にでも来た感じだ。少し驚き慣れたころ、ふと人形を見ると「雨月物語より」とある。
 「雨月物語」は昔の映画で見たが、お姫様に誘われるままにお屋敷で楽しく暮らしていた男が、しばらくして家に戻ると、そこはもう荒れ果てていて、お姫様も実は死霊だった・・・という、ちょっと竜宮城みたいな話だったと思う。
たしかにここも「昭和の竜宮城」だ。なるほどだから「雨月物語より」なのか。と、納得。
しかし、これでもかと一面にほどこされた着彩や細工に息苦しくなる。さすが、加賀屋とは根性の入れ方が違う。

 タイトルは、『辻村寿三郎×百段階段展』のはずで、部屋にはたしかに辻村寿三郎氏の素敵な人形も展示されいるのだが、部屋の装飾がすごすぎて、ちっちゃな人形を見ている暇がない。それは、わたしが百段階段目当てで来たからというのもあるだろうが、単純にスケール的に人形が霞んでしまうのだ。

 この百段階段、普段は非公開だが『ナントカ×百段階段』というパターンの催しのときに限り、時々公開されている。例えば、『大奥×百段階段』『假屋崎省吾×百段階段』『平山郁夫×百段階段』などだ。大奥の打ち掛けや、假屋崎さんの大がかりな作品などは、部屋の装飾といい勝負だと思うが、平山郁夫さんは・・・う~ん、どうだったのだろう???

 聞くところによるとここは、映画「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルらしい。
たしかに、この過剰な、いやらしいほどの装飾を見ていると、そうに違いないと思えるし、金融恐慌だのなんだので、世間が大変なときにも、ここでは夜な夜な宴会がくり広げられていただろう背景を考えると、「千と千尋」にピッタリではないかと思う。

 檜の一枚板が連なる百段階段は、斜面に沿うように建っているせいか、まっすぐではなく、微妙にズレたり曲がったりしているので、てっぺんから一直線には見通せない。
キッチュで悪趣味ではあるけれども、こういう秘密めいた隠れ家的なところになぜか惹かれてしまう。摩訶不思議な魅力だ。

目黒雅叙園を見る
充実したページ。いきなり音が出るので要注意!

※写真撮影禁止だったので、ほどんど写真がないのが残念だが、ネットではバンバン載っている。どういうことか???わたしはこう見えて、意外と著作権には気遣っている。つもり・・・。
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by adukot_u3 | 2009-07-26 01:14 | アート

歌好き地図好き散歩好き。モットーは『自分で調べて自分で考えて、なるべく自分の事は自分でやる』。さそり座、黒ひょう、AB型女。


by maccheroni
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