暑くてムシムシした日が続いている。
冷たいものは滅多に飲まないわたしでも、こうなるとさすがにホットコーヒーよりも冷たいお茶が飲みたくなる。
そこで、『献上 加賀棒茶』の出番だ。
これは金沢の古くからある「丸八製茶場」というところのほうじ茶で、天皇陛下にも献上されたことがあるというツワモノだ。だから仰々しく「献上」と付いているのかは知らないが、わたしにとってはそんなことは関係なく、ただおいしいから飲んでいる。
「ほうじ茶なんて、どれだっておんなじじゃん?」
「夏なら麦茶で十分でしょ?」
と思っていたわたしだが、ふと乗り換えのときに金沢駅で買って以来、この『献上 加賀棒茶』の大ファンになってしまったのだ。何が違うって、これが、ほうじ茶の概念を根底からくつがえすほどのおいしさなのだ。
ほうじ茶と言えばまず、”安くてたくさん入っている”のが定番だが、この『献上 加賀棒茶』は違う。
値段が高い。そして量も少なく、さしが効かない(2杯目はイマイチ)。
だけどだけど、このおいしさには代えられず、贅沢とは思いつつも、たまに買ってしまうのだ。「ほうじ茶と思うと高いけど、緑茶やコーヒーだと思えば安い」とかなんとか屁理屈をつけて。
普通に飲んでもおいしいが、この時期は水出しがオススメだ。
理想は軟水のミネラルウォーターだが、1日汲み置いた水や、沸き冷ましでもOK!ティーバッグに適量を詰めて、ポンと放り込んで冷蔵庫に入れておくだけで、あめ色の、ふくよかで甘みのある上等な冷茶のできあがり。
この『献上 加賀棒茶』、『献上』とついているのはダテじゃない。一番摘みの茎だけを浅く炒り上げたもので、ただの『加賀棒茶』や『加賀ほうじ茶』もあるが、明らかにそれらとは一線を画している。
以前、とある画廊にお邪魔したときに出てきたのがこのお茶で、
「加賀棒茶ですよね?」
と言ったときの、オーナーのうれしそうな顔が忘れられない。
そのときのわたしは、”違いのわかる女”を気取って、鼻の穴がふくらんでいたことだろう。
お茶好きな方なら、機会があれば是非一度、飲んでみることをオススメする。
【株式会社 丸八製茶場】
このお茶屋さん、
オリジナルの冷茶用ポットまで作っている。それもプロダクトデザイナーに依頼して。シンプルで美しいフォルムが見事な逸品で、これも欲しいところだが、今のがあるのでガマンガマン。