歌好き地図好き散歩好き。モットーは『自分で調べて自分で考えて、なるべく自分の事は自分でやる』。さそり座、黒ひょう、AB型女。
by maccheroni
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映画『八日目の蝉』(ネタバレ)
Gyaoで『八日目の蝉』をやっていたので、チラッとのぞいたら、どんどんと引き込まれて、結局最後まで見てしまった。

不倫相手の子を宿し、堕ろした末に子どもの産めない体になった女。
男と妻との間に出来た子供をひと目見るだけと家に忍び込んだものの、たまらずその子を抱いて立ち去る。
友人宅やホテル、宗教団体、小豆島と転々とした末に居場所が知れ、つかの間の子育ては四年で終わる。

書いてしまえば単に衝動的で感情的で身勝手な女の話なのに、なぜか号泣。
女性への同情なのか?大人の事情に振り回される子供に対してか?
見ているうちに、いったいわたしは何に対して泣いているのかがわからなくなった。

主演の永作博美さん。
助演の小池栄子さん、井上真央さん。
永作さんは昔からどうにも好きになれず、小池さんもイマイチ好きになれないタイプの人だったが、いやはやこの映画での3人の演技は素晴らしい。

永作さんなんて昔はribbonでアイドルやってたはずなのに、いつの間にこんな演技のできる女優さんになっていたんだろう。
小池さんはいつも、普段感じる雰囲気と全然ちがう役柄なので観るたびに驚かされるが、今回が一番ビックリした。
井上さんはあんまり見たことがない女優さんだったが、ぶっきらぼうなのに今にも壊れそうで心配で目が離せない。
NHKの『おひさま』というドラマでちらっと見た時とのあまりの違いにビックリした。

残念なのは、井上さんの不倫相手がなぜか劇団ひとりというところ。
どう考えてもキャラじゃないし、ベッドシーンがなんかキモい。
しかし、それを補って余りある3人の演技に脱帽する。

わたしはリアルな物語を観ると、その人が本当にこの世にいるような気がして、今頃なにをしてるんだろうと空想することがよくある。
出所した永作さんは、どこでどんな暮らしをしているのだろう。


Gyaoの『八日目の蝉』は14日まで
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by adukot_u3 | 2013-03-06 20:37 | 映画
カリフォルニア・クライオバンク
米国で最も有名な精子バンクのひとつ「カリフォルニア・クライオバンク」のサイトにびっくり。

髪の色、目の色、出身種族をプルダウンメニューで選ぶ。
まるでネットショッピングサイトだ。
そして表示される、顔写真のないドナーのデータの数々・・・。

かつて見た『ガタカ』という映画を思い出した。
自然出産で生まれた者を”不適正者”、遺伝子操作で生まれた者を知能と体力に優れた”適正者”とし、適正者を限りなく優遇する近未来を描いた物語だ。
見た当時はただのフィクションとしか思わなかったが、こうなってくると、DNAの段階で勝ち負けが決まる世界というのが俄然リアリティを持って浮かび上がってくる。

最近、周りでちょっと似たようなことがあったので、余計にまじまじと眺めてしまった。
ちなみにクライオとは【cryo】で「冷凍の」という意味。
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by adukot_u3 | 2013-02-28 23:40 | 映画
映画『聴こえてる、ふりをしただけ』
守ってくれる人が誰もいなくなった日、わたしは大人になることにした



聴こえてる、ふりをしただけ』は、事故で急にお母さんを亡くした11歳の少女・サチと、その後の日常を描いた作品。
状況は全く違うけれど、わたしも気づいた時には父がいなかったので、なんとなく気になって観てみたくなった。

おんなじだなぁと思ったのは、周りの適当さ。
「お母さんはさっちゃんのこと見守ってくれてるよ」
と言う先生は、
「じゃぁどうして告げ口なんていじわるされるんですか」
というサチに、返す言葉がない。

それと、学校や世の中が、揺れ動く自分の気持ちとは関係なくどんどん普通に流れて行くこと。

整理のつかない気持ちを抱えたままの自分と、学校での普通の自分とを使い分けることは、子供にはけっこうしんどい。
でも、自分だけ立ち止まっているわけにはいかない。
サチがやたらに泣かないことにも、ものすごくリアリティを感じた。

サチは、おばけを怖がる転校生が来たことで、
「人は死んだらどうなるんだろう?」
と考えるようになる。

亡くなったお母さんは生き返らない。
人が死んだらどうなるか?も、誰にもわからない。
そんな中でサチは、お母さんの形見の指輪を首にかけつつ、周りの人との関わりの中で次第に自分なりに折り合いをつけてゆく。

「守ってくれる人が誰もいなくなった日、わたしは大人になることにした」
というコピーは、まさにそのとおり。
自分にはおおごとであっても他人にはヒトゴト。
気遣いのある人や無い人に揉まれつつ頭をぐるぐる回転させながら、出口はなんとか自分で見つける。
とても気の毒で酷なことではあるけれど、それしか方法はない。

あぁ、小学生の時ってこうだったかもなぁ。
そんなふうに自分を思い返す映画だった。

監督は精神科の看護師で、2人の子供のお母さんでもある今泉かおりさん。
26歳で上京し、映画専門学校に入って映画づくりを学んで育児休暇中に映画を撮ったということで、いったいどんなにバイタリティ溢れる人なんだろう?と思ったら、こんな普通の人だった。(WebD!CE

この作品は、第62回ベルリン国際映画祭で『子ども審査員特別賞』を受賞している。
『子ども審査員特別賞』とは、11歳から14歳の11人の子どもの審査員によって選ばれるというユニークな賞だ。
日本の11歳の少女の機微は、ベルリンの子供たちにも伝わるものなんだな。
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by adukot_u3 | 2012-10-11 04:07 | 映画
映画『モンサントの不自然な食べもの』
日本は食の安全までアメリカに委ねることになるのか?


渋谷UPLINKにて上映中

モンサントの不自然な食べもの』というドキュメンタリーを観た。
モンサント』は日本ではあまり馴染みがないが、世界の遺伝子組み換え作物市場のシェア90%を占めるアメリカのグローバルなバイオ企業だ。
この作品は、モンサントのクリーンなイメージとは裏腹な実像を、フランスの放送局“Arte”が描いたもので、NHK『BS世界のドキュメンタリー』でも放送されている。
以下、ドキュメンタリーの内容に自分で調べたものを加えてまとめてみた。

●モンサント社とは?
以前は化学薬品会社だったが、今や農作物の種子や農業関連製品の会社にすっかりシフトしている。
扱っているのは主に、遺伝子組み換え種子〔『GM(Genetically Modified)種子』〕や、農薬、PCB、牛成長ホルモン、人口甘味料アスパルテールなどだが、様々な問題を起こしてもいる。
アメリカの「ナチュラル・ソサエティ」という有害食品や薬品の情報サイトでは、2011年度”世界で最も悪質な企業第1位”に輝いている。

過去にはベトナム戦争に使用された枯葉剤を製造していた。
⇒訴訟では和解し、メーカーの賠償責任はないという最高裁判決も出たと自社サイトで一応説明している。(日本モンサント

●『ラウンドアップ』と『GM種子』
モンサントの主力商品は『ラウンドアップ』という強力な除草剤と、それに耐性を持たせるよう遺伝子操作された種子(『GM種子』)だ。
『GM種子』は1代限り〔F1(first filial generation)〕で次の代の種が取れないようになっているので、農家は特許権を含んだ種を毎年毎年買わなくてはいけない。
でもその2つをセットで使えば、肝心の作物は枯れずに邪魔な雑草だけが枯れるから、草むしりの手間が省けて楽ですよというのがセールストーク。

パッケージには「環境に優しい」、「生分解性(微生物によって分解される性質)」という表示がされていたが、虚偽にあたるとして裁判で負けている。
結局は環境に優しくはなく、分解もされないただの強力化学除草剤ということ。

●問題になっていること
(1)健康被害
『ラウンドアップ』と『GM種子』に発がん性があることをフランス・カーン大学の研究チームが実証している。(AFP BBNews

遺伝子組み換え作物中の有害物質は、妊婦と胎児の血液中からも検出される。(mail Onkine 和訳

遺伝子組み換え牛成長ホルモン「rBGH」(商品名「ポジラック」)は、子牛を早く成長させ、乳牛の乳の量を増やすが、これを投与された牛のミルクを飲むと乳がん・大腸がんが発生しやすい。(Samuel Epstein:Arizona Center for Advanced Medicine

(2)特許侵害による損害賠償の危険性
『GM種子』には特許権があるので、『GM種子』が風に吹かれて在来種の畑に入ってしまった場合でも、農家が特許侵害で訴えられ損害賠償金を請求される。

1997年、カナダで農業を営むシュマイザーさんの所に、隣の畑からGM種子が飛んできて、品種改良したものが台無しになったうえ、モンサントにGM種子の特許権を楯に損害賠償を請求されたという事件があった。

モンサント社のサイトでは「知らないうちにタネが入り込んだという規模ではないことが裁判で認められて彼は敗訴した」と書いてある。
しかし、シュマイザーさんに請求した損害賠償と、裁判費用が却下されたことは書いていない。

その後2007年にシュマイザーさんは、第二のノーベル賞とも言われる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞している。(日本では1989年に「生協」、1997年に反原発の市民科学者・高木仁三郎氏が受賞している)

訴訟に至らないまでも、特許侵害の疑いのある農家には調査員をつけて監視したり、監視カメラで録画したりしてというようなことは普通にやってるらしい。(裁判で録画映像が証拠として提出されている)

(3)生態系への影響
『GM種子』と在来種が交配すると奇形な花や作物ができ、健康への影響が懸念される。
と同時に在来種が発芽しなくなり、どんどんと駆逐されていくことになる。

(4)スーパー雑草
『ラウンドアップ』と『GM種子』を使い続けた結果、それにも耐性を持つ雑草が出てきた。(日経産業新聞
大規模農地で1種類の作物だけを同じ除草剤で何年も作っていれば、そうなってもおかしくないだろうことは誰が考えたってわかることだ。
モンサントは、すぐにスーパー雑草をやっつける除草剤と、それに耐性を持つ種子を開発するだろう。
でも、そういう繰り返しで出来た作物は人が食べられるものなのだろうか?
人も、スーパー雑草のような人間だけしか生き残れないということなのか?

●海外では
【インド】
1998年、世界銀行の構造調整プログラムによりGM種子が普及。
インドの綿種子市場は事実上、モンサントの独占市場となる。
以来、モンサントに依存した高い生産コスト、思ったよりも不確実な収獲、アメリカが自国の綿花産業に多額の補助金を投入したことによる綿花価格の暴落などにより、綿花農家の借金苦による自殺が増えている。(インディー・サテライト:インド綿花生産者の自殺とモンサントの戦略

【アメリカ・カナダ】
自然に入り込んでしまったGM種子の特許侵害の裁判がたくさん起こっているが、農家には裁判費用や損害賠償は払えないので、示談という形にするケースも多い。

【イギリス】
GM作物を英国政府が輸入する際、調査にあたった遺伝子組み換え専門の研究者ブースタイ博士が「ガンを誘発する可能性がある」という否定的な実験結果を出したため、博士と研究員全員が解雇されている。

●モンサントの回転ドア
モンサント社と、規制する側の役所であるFDA(米国食品医薬品局)はズブズブ、ぐずぐずの関係。
FDAの副長官がモンサント社の元トップだったり、審査部門の担当官が元モンサントの社員だったりする。
入り口と出口が同じという意味で、”モンサントの回転ドア”と非難されている。
東電・保安院・大学・メーカーのようなことがここでも起きている。

●世界のタネ市場の現実
今や世界のタネ市場は、その大半が多国籍企業の資本下にある大手種苗会社によって支配されていて、世界のトップ3が全世界のタネの5割を支配している。

日本も例外ではない。
今、日本で売られている野菜は、ほぼ100%種のできないF1種なのだ。
もはや日本では無農薬や非遺伝子組み換えを選ぶことはできても、次の年も種をつける昔ながらの在来種はなんと、埼玉県飯能にある野口種苗にしかない。(野口勲氏・野口種苗研究所代表インタビュー
まさかこんなすごいことになってるなんて、ぜんぜん知らなかった…。

●食の安全保障
経団連の会長である米倉弘昌氏が会長を務める住友化学は、モンサントと長期的協力関係を結んでいる。(PDF:農作物保護(雑草防除)分野におけるモンサント社との長期的協力関係について
そらTPP推進するべ。

TPPに参加すれば、農業が開かれるとか輸出が増えるとか言ってる人がいるが、アメリカ以外のマーケットは非常に小さい。
そのアメリカはといえば、2010年オバマさんは横浜までわざわざ来て
こちとらこれからアジアへの輸出で儲けようと思ってんだよ。てめぇらアメリカに輸出して儲けようなんて、ゆめゆめ思うなよ
と言ってるのだ。

日本がTPPに参加すれば、安いGM作物がアメリカからどっと押し寄せるだろう。
国産の作物が価格でそれに対抗できるわけはないから、国からのツボを心得た補償がちゃんとなければ、農家はGM種子を使わざるを得なくなるだろう。
狭い日本の農地では、簡単に在来種とGM種子の自然交配ができてしまうだろうし、そうなると元に戻すことは不可能だ。

除草剤とセットでしかも1代限りの遺伝子組み換え種子が市場を席巻し、しかもTPPで関税まで撤廃してしまえば最後の砦すらなくなる日本は丸裸。
それって…日本の食自体がコントロールされるってことじゃないの?
政府は国の安全保障のみならず、食の安全保障までアメリカに委ねるつもりなのか?

と、ここまで書いてはたと気づいた。
TPPは24もの分野にわたる。
農業だけじゃなく、金融や医療などさまざまな分野で、こういうアリ地獄のような巧妙な仕掛けがされているにちがいない。
それなのに、テレビや新聞はこれでもかとTPP参加をあおる。
新聞が開戦をあおった先の大戦の時と、あまりにも似てはいないだろうか。


モンサントの他に、スイスの『シンジェンタ』、『ダウケミカル』が、GM菜種、GMトウモロコシ、GM綿の栽培を農水省に申請している。

GM技術を農産物に使うことを5年間中止しているスイスに本社を置く『シンジェンタ』は研究活動をアメリカに移しつつある。
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by adukot_u3 | 2012-10-06 14:13 | 映画
映画『私が、生きる肌』
美しさは人を狂わせる。常識とか理屈じゃない。


観終わって、どっと疲れた。
とにかくすごい。
もうそれしか言いようがない、そんな映画だった。

でも、これぞ映画だ。
中途半端な常識や倫理などは、この映画の前には何の力もない。

最近はこのブログも、原発やらなにやらで、ちょっと理屈っぽくなり過ぎていた。
時々はこういう映画を観て、自分の中にある狂気と変態性をきちんと自覚しないとだめだな。

私が、生きる肌
(いきなり音楽が鳴るので注意。画面左上にOFFボタンあり)
監督 : ペドロ・アルモドバル
主演 : アントニオ・バンデラス
衣装 : ジャンポール・ゴルチエ

これを目にして、観ないでいられようか?
この布陣はわたしの中では、無意識に吸い寄せられる映画界の「バミューダ・トライアングル」みたいなものだ。

ロベルは、著名な形成外科医。
自ら開発した人工皮膚を使い、別人を実験台にして、焼死した亡き妻そっくりな美女を作り上げる。
そしてそれは、強姦され精神を病んだ末に亡くなった愛娘のための復讐でもあった。
これがストーリーの全てだ。

このロベルがどんなふうな復讐の仕方をするかは、わたしなんぞの想像を軽~く超えて、
えーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!
そ、そ、そんなことをーーーーーーーー!!!!!!

というほどすごいから、ストーリーを言ったぐらいじゃ全然平気。
こんなこと、普通の人が考えたり言ったりしたら、絶対に鬼畜か変態だとしか思われない。
それぐらい、想像を絶するエグさだ。


しかし、それを演じるアントニオ・バンデラスがまた超カッコいい!
天才形成外科医が、自らの手で作り上げた妻に執着した末の結末は、まさに「転落美」とも言うべきか。



ジェレミー・アイアンズ映画界きっての転落男、ジェレミー・アイアンズ→
もビックリだ。
テーマといいセンスといい、こういう世界は、アルモドバル監督の独壇場だなとつくづく思う。
映画界の「団鬼六」と呼ぼう。

誰にだってロベルになる要素はある。
そう思えない人は、この映画は楽しめないだろう。
しかしながら、美しいとは、なんと罪作りで恐ろしいことだろうか。


ジャンポール・ゴルチエのフィット・スーツゴルチエのデザインによる、全身にフィットした肌色のスーツ。こんなの絶対着れない(笑)
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by adukot_u3 | 2012-06-06 15:45 | 映画
ドキュメンタリー『イエローケーキ~クリーンなエネルギーという嘘』
ウランは掘り起こすだけで被曝者を生む。世界は相も変わらず、危ないものを貧しいところに押し付ける差別社会なのだ。


知らなかった。
旧東ドイツには、地図にも載っていない広大なウラン鉱山が存在することを。
そしてそこから掘り出されたウランが、かつてのソ連を支えていたこと、カナダにも広大なウラン鉱山があって、それがアメリカを支えていたことも・・・。
この2つの国の争いが、いろんな国を振り回して来た。
その元凶・・・それがイエローケーキだ。
ウランを精製し固めたもので、黄色い色とケーキのような形からそう呼ばれている。

原発事故以来、テレビをやめ、原発についてのいろんなものを見たり聞いたり読んだり人に訊いたり足を運んだりしてきた。1年かかったが、理屈の上では原発が選択肢としてあり得ないことはもうわかった。
このドキュメンタリーがダメ押し。
しかし、巷では1年経ってもまだ相変わらず絵空事を言ったり、不毛な議論をしている。
そんな何の進歩もないものに付き合わされるのは、もううんざりだ。

旧東ドイツ・オーストラリア・カナダ・ナミビア。
これらは世界に名だたるウラン鉱床を持つ国々だ。
このうち旧東ドイツは、民主化した時に鉱員の健康調査をしたところ、ありえない数値が出て、ウランが枯渇する前に閉山した。閉山すれば終わりというわけではなく、未だその後処理は続いている。
採掘の際に使用された水のせいで、辺りは湿地帯か溜池のようになっていて、広大な土地が使い物にならなくなっている。かつての鉱員も多くの人が亡くなっている。

今、世界最大なのはナミビアだ。
3階建てのビルほどもありそうな、バカでかいトラックでどんどん運び出している。
稼げるからという理由で、なんと女性もいる。
毎月必ず誰かが病気で倒れているが、作業服はなく、マスクをするわけでもなく、どれだけ被曝したかすら知らずに働いている。
経営者側もしかりで、ウランを単なる鉱物のひとつとしか見ていない。
金鉱脈が見つかったと同じ感覚で、自分の生活がこの先いかに安泰で豊かになるかにしか興味がないようだった。

でもウランは掘り起こされた土のたった1%。
残りの99%は、いったん山のように積み上げられた後に再び埋め戻される。
もちろん例え1%とは言え、いったん掘り起こされた土は立派な放射性廃棄物。
こんな効率の悪いこと、なんでやってんの?
逆に、こんなに効率悪いことをしても儲かるなんて、いったいどんだけ値段を吊り上げてんの?って感じ。

母なる大地から心臓をえぐり出してはならない
それは灰の詰まった瓢箪と化し
やがては世界を破滅に導く──────
アメリカ・インディアンのホピ族の予言

これは、原子爆弾のことを指していると言われているが、それだけじゃなく、欲に駆られて自然のバランスを崩すなよという警告のようにも思える。

かつてウラン採掘で栄えたカナダのウラニュウムシティーでは、再びウランを採掘して豊かな町になろうという動きがある。ここでも女子学生が、非常に無頓着にウラン鉱石を扱っている。
救いは、オーストラリアのアボリジニが、一旦許可した採掘権を取り戻したことぐらいか。

結局、貧しいところにはいつも危険がつきまとう。福島と東京は世界の縮図だったのだ。
ウランは石油や天然ガスよりも埋蔵量が少ないうえに、チェルノブイリや福島のように事故なんて起きなくても、ただ掘り起こすだけで被曝者を生む。
鉱員に被曝させ、原発で働く人や周辺住民にも被曝させ、いったん事が起こればとんでもない数の人に被曝させ、土地は使えなくなり、ゴミは2万4千年もの間放射線を出し続ける。
それが核兵器なら、敵味方関係なく被曝者を生み、後遺症で苦しめる。
日本では原発事故が起きても直ちに影響がないと言って避難もさせず、満足な賠償もせず、責任もとらず、安全もそこそこに再稼動させる勢いだし、原発を輸出しようとすらしている。
こんなもの、とても正気の沙汰とは思えない。

しかし、いったん広げてしまった風呂敷は、簡単にはたためない。
入れ子状態の危険と安全は、今も世界のあらゆるところにあるが、現在世界の原発は427基(2012/05/30 THE WALL STREET JOURNALl)。
推進することで利益を得る人々は高みの見物気分なのだろうが、今やどこに行っても、放射性物質の出ないところなんてたぶんない。

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わたしの中ではもう脱原発という方向性は決まっている。
先進国もこの先、徐々に脱原発に向かうかも知れない。
でも新興国はきっと、原発をどんどん建てて発展しようとするだろう。

3階建てのビルにも匹敵するようなバカでかいトラックがゴマ粒のように見えるほど広大なナミビアの採掘場、脱原発などどこ吹く風で、ナミビア鉱山の株式の10%を取得する伊藤忠商事。今現在、46カ国から食品の輸入規制を受けている日本。
もろもろを考えると、暗澹たる気持ちになるのだ。


「イエローケーキ」監督インタビュー『カタログハウス』の監督インタビュー
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by adukot_u3 | 2012-06-02 17:46 | 映画
ドキュメンタリー『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』
映画『核の傷』自身も被曝者でありながら、軍医として被爆者治療にあたり、早くから内部・低線量被曝の危険性と核兵器廃絶を訴え続けてきた医師、肥田舜太郎さん。95歳。若い!
この肥田医師を描いた、フランス人のマーク・プティジャン監督の『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』というドキュメンタリーと、鎌仲ひとみ監督のトークショーがセットになった催しがあったので行ってきた。

鎌仲監督は、『六ヶ所村ラプソディー』や『ヒバクシャ 世界の終わりに』などの作品を撮られた方で、わたしが震災前に偶然見た『ミツバチの羽音と地球の回転』というドキュメンタリーではこのたび、映画鑑賞団体全国連絡会議監督賞を受賞されている。

今まで科学的根拠がなく、なんとも言えないとされてきた低線量被曝の被害。
でもそれは確実にあって、しかもちゃんとしたデータまであった。
単に都合が悪いから今まで隠されてきただけの話だった。
原発事故以来、遅まきながらも自分なりに情報を集め、ない頭をひねって考えて来たおぼろげなことが、この映画のお陰で多少はハッキリしたので、映画の内容+他からの情報を入れつつまとめてみた。


(1)実験開始
1945年8月6日午前8時15分、広島に原爆が投下される。
8時15分というのは、ターゲットが広島に決まってから、アメリカ軍が上空からじーっと何日も街を観察した結果、一日のうちで最もたくさんの人が外に出ているということで決めた時間だった。
その数日間、広島の人たちは、じっと空から凝視されつつ、元気に仕事をしたり勉強したりしていたのかと思うと・・・ほんとうにいたたまれない気持ちになる。

(2)傷害の調査
投下直後に、原爆傷害調査委員会(ABCC)がアメリカによって設置される。
目的はその名のとおり、原爆が人体に及ぼした傷害を調査記録するためで、治療は一切しない。
やることと言えば、被害者に日付のついたプラカードを持たせて患部の写真を撮ることと、死体を解剖して、調査のために薬に漬けて保存しておくこと。
ここでの調査結果が後々、放射線の影響度を測る尺度の「もと」となっていく。
これらの事実を眺めると、原爆は人体実験以外のなにものでもなかったことがわかる。
肥田医師は当時、ABCCが治療もするように国や軍と交渉しているが、当然却下されている。

(3)情報の隠蔽
さて次の仕事は、人体実験をしたという事実と、その被害の隠蔽だ。
マッカーサーは
「広島・長崎の原爆被害の内容については米軍の軍事機密だから、一切書いたり話したりするな。違反者は重罪に処す」
と 後々証拠が残らないように口頭で発表している。
被曝で生活が成り立たなくなった人たちには、お金で口止めし、徹底的に隠蔽した。

マンハッタン計画の副責任者ファーレルは、
「原爆では死ぬべき者はもうみんな死んでしまい、現時点では病気で苦しんでいる者は誰もいない」
という公式発表を世界中に流した。
外部被曝は認めざるを得ないが、内部被曝はないというスタンスはたぶんここからだ。

内部被曝を認めない理由は
1.核兵器を作れなくなるから
2.賠償でお金が要るから
この2点。結局はお金。

(4)研究に対する圧力
一般人に対しては情報を遮断すればいいが、研究者にはそうはいかない。
そこで、ABCCが認める以外の研究はさせないことにした。
逆らえば大学に居られなくなり、研究費も下りなくする。
だから正しくは、「低線量被曝は医学的に証明されてないから認められない」のではなく、
「実は証明されているが、日本人にバレちゃまずいから自前では研究させずに、アメリカに有利に細工したものさしを使わされていた」ということ。

日本が低線量被曝を学問的に証明するには、被曝と症例との関連性を統計学的に証明したり、ガンが放射線の影響であることを実験で証明する必要がある。
その研究自体を認められていなかった日本に、それができないのは当然だ。

(5)低線量被曝被害はある
Low-Level Radiation軍医だった肥田医師は、その臨床経験から、直接被曝していなくても症状が現れることはわかっていた。
それの原因が低線量被曝にあることを、ウェスティングハウス社の元・研究員だったスターングラス博士の著書『Low-Level Radiation(低レベル放射能)』によって知る。
博士は、原発は平時でも放射能が漏れていて、その地域の癌の発症率が高いというデータも挙げている。

ウェスティングハウス社とは、アメリカの原発製造会社で、政府の原子力潜水艦の開発計画を請け負っていた。
ウエスティングハウスに競り負け、開発費用がパーになり大損したGEのためにアメリカ政府は、GE製の沸騰水型の原子炉を、敗戦国だった日本、西ドイツ、スウェーデンに高額で押し付けた。
日本に原発が来たのは、平和利用でも環境目的でも石油危機でもなく、単なる押し付けだった。
(元公安調査庁第二部長・菅沼光弘氏)

(6)お手盛りな基準
放射線については「これ以上はNG」という国際的な基準が定められていて、それ以内には抑えられている。
しかし、この基準は25年前に作られて以来、6回改変され、そのたびに緩くなっている。

いま福島では、普通の生活を送れる基準は3.8μSv/h未満ということになっている。
鎌仲ひとみ監督が取材でイラクを訪れたとき、劣化ウラン弾が使われた地域で線量を測ったところ、なんと3.8μSv/hだったという。

いまのところ、低線量被曝地域では、ガンの発症率にさほどの上昇は見られないとされているが、
1.なんでもない場所のガンの発症率
2.ホットスポットでのガンの発症率
これを比べないと意味がないのに、1と2をごっちゃにして調査をし、発症率を薄めている。(鎌仲ひとみ監督)

(7)核兵器被害の現状
核兵器は「つくる」段階から多くの被曝者を生み出す。
原料のウラン鉱山のある国、核兵器を作る工場のある国、核兵器を落とされた国、ただ持ってるだけの国。
今でも世界中で毎日のように被爆者が生み出され、その数は世界で1000万人を超えるのが現実だ。

アメリカ最大のプルトニウム製造工場があったカリフォルニア州ハンフォードではかつて、放射性ヨウ素131を大きな風船に入れて、上空でばらまく実験まで行われていた。
「死の1マイル」と呼ばれる約1.6キロ四方では、一家全員がガンだったり、奇形児が生まれたりしていて、28家族のほとんどの女性に甲状腺障害があり、流産を経験している。
政府は実験の事実は認めたものの、微量なので影響はないとしている。
(鎌仲ひとみ監督)
どこかの国の対応とまるでおんなじだ。



映画についてはここまで。
でも、わたしの中にはまだ疑問があった。
実は、ずいぶん前に長崎大学から無料でもらえるこういう資料を取り寄せていた ↓

f0046622_6192461.jpg●『リスク認知とリスクコミュニケーション』
●日本財団の『笹川チェルノブイリ医療協力事業を振り返って』(PDFファイル・ダウンロード可)

前者は、放射線研究者がまとめたもので「みなさん怖がりすぎ。放射線はそれほど怖くないんですよ」と言っていて、
後者は、笹川財団がチェルノブイリの事故後、ソ連に広島・長崎の医療部隊を派遣し、のべ20万人を検診した結果をまとめたもので、「住民20万人を10年以上調べましたが、亡くなる人は最初の半年で、あとはなんともないんですよ」と言っている。

いくら意見が分かれるとは言え、これはちょっとヒド過ぎると思っていたところ、長崎大学の協力機関には財団法人 放射線影響研究所というところがあって、なんとそれは元ABCCだということがわかった。やっと腑に落ちた。

そしてダメ押し。
この放射線影響研究所の前理事長であり長崎大学名誉教授の長瀧重信氏は、2011年4月14日の朝日新聞でこう書いている。
「チェルノブイリで子供の甲状腺がんが増加したが、それ以外には、セシウムで高度に汚染された地域の住民も含めて、放射線による病気の増加はまったく認められていない。
現在の最大の問題は放射線に被曝したという精神的影響(PTSD=心的外傷後ストレス障害)だ」


放射線のリスクがいかに低いかを説明するために、車やタバコのリスクと比較されたこういう資料をよく見かける。
それを見るたびにわたしは、いつも違和感を感じている。
車やタバコがいかにリスクが高くても、それは納得の上でやってること。
事故ったからと言ってトヨタを訴えるわけでもないし、肺ガンになったからと言ってJTを訴えるわけでもない。
外科手術、食品添加物、お酒、農薬、飛行機、登山、金融商品・・・それらがハイリスクであれローリスクであれ、最終的には自分の意思で選ぶ。

でも放射線は、自然界にあるものはともかく、選んだわけでもないのに原爆や原発や劣化ウラン弾とともに勝手にやって来て、空気中や海に撒き散らされる。それとこれとを並列に比べられても・・・。
ましてや、安全だと言いながら実はかなりなハイリスクなんだから、まったくお話にならない。



放射線影響研究所は、ABCCの単なる手下かと思っていたら、こんな論文を出していた。
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950–2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases

●「これ以下なら安全」という「閾値(しきいち)」はない
●低線量被爆であっても、「被曝量と病気の発生」には比例関係がある
●福島の小学生が被爆した、20ミリシーベルトで子供がガンになる可能性は100人に2人程度と、かなり高くなる

ということを言っているらしい。

この、政府にたいそう都合の悪い論文のことは、当然ながらほとんど報道されていない。
そして、あろうことか、「厚生労働省における東日本大震災の対応状況」という紙によって、宮城県の一部と福島県の全域では患者調査を行わないという通達がされていた。
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by adukot_u3 | 2012-04-23 06:50 | 映画
『愛を読むひと』Gyaoで上映中!
以前の日記に書いた、映画『愛を読むひと』が、Gyao(ギャオ)というサイトで上映している。
Gyaoとは、Yahoo!JAPANが運営する、映画やドラマ、アニメなどを視聴できるサイトで、ID登録するだけですべて無料。
それだけに公告が多かったりもするが、映画館やTSUTAYAにわざわざ行くほどではないけど、なんとなく見てみたいものや、見逃してしまった映画などがたまたまやっていた時なんかは、とてもありがたい。
わたしが今までテレビを観ていた時間は、本を読むか、ここで映画か韓国ドラマを見るかになった。

『愛を読むひと』は2月16日まで


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by adukot_u3 | 2012-01-16 02:42 | 映画
『海洋天堂』(途中ねたバレ注意)
『海洋天堂』は中国の映画。
奥さんを失くし自閉症の一人息子を抱えた男が、自分も末期がんで余命半年しかないことを知って、いったんは無理心中をしかけるが諦め、残された時間を息子・大福(ターフー)がひとりで生きて行けるようにするために、ひたすら費やすというお話だ。

こう書くと、ありきたりのお涙頂戴ドラマのようだがそうではない。
スクリーンには、20歳を過ぎた大福が入れる施設を探したり、家事やり方やバスの乗り方を教えたりなど、父親のきわめて淡々とした日常が描かれているだけで、これと言って泣かせる場面があるわけではない。

それなのに、始まってしばらくしてから周りからはハナをすする音が・・・。出演者がほとんど泣かないのに、観ている人がこんなに泣く映画も珍しいと思う。もしかしたら同じように自閉症のお子さんを持つ親御さんたちが観に来ているのかな?と思った。

父親が大福のことに一生懸命になればなるほどわたしは、その父親がいなくなった後のことを考え、切なく悲しくなる。でもそれはあくまでも想像だ。
実際に障害のあるお子さんをもつ親御さんたちはたぶん、子供が小さいうちから自分が死んだ後のことをリアルに考えて日々を過ごしているに違いない。
そんな方々にとっては、この父親の淡々とした日常と、自分たちの日常が重なって見えるに違いない。

自閉症ではないが、私には7歳からずっと施設に入っている、精神に障害を持った”いとこ”がいる。
施設に入るまではずっと一緒に暮らしていたので、私にとっては兄弟に近い感覚だ。先天性ではなく、れっきとした医療過誤。それまではごく普通だったのに、耳の手術をしてから急におかしくなった。
今でも年を尋ねると7歳と答える。今なら損害賠償で大モメだろうが、昔のことだから当然泣き寝入りだ。

今年で五十になるそのいとこが以前、風邪をこじらせて危篤状態になったことがあった。
何とか持ち直した後、母親である伯母は「いっそ死んでくれれば良かったのに・・・」と言った。若くして夫に先立たれている伯母には、その下に二人の息子がいるので、映画のように無理心中するわけにはいかないのだ。

そうは言っても、順番からいけば当然、伯母が先に亡くなる。大福よりもかなり障害の重いいとこの世話は、国や施設がしてはくれるかも知れないが、もろもろの手続きや、そういうのとは関係ない季節ごとの着替えや食べ物の差し入れ、たまの面会には誰が行ってくれるのだろう。
誰かが行ってくれるかも知れないし、行ってくれないかも知れない。行きたくても経済的に無理ということもあるだろう。いきおい、伯母の行動は誰に対しても最後には弱腰になる。
意識してるかしていないかは知らないが、わたしにはそう見える。

いとこは身内の中で疎んじられているわけでは決してない。その穏やかで優しい性質ゆえに、一時帰宅のときにはみんなが、いとこと話をするために集まる。ごく少数の身内だけにしか通じないような言語でだけど。
でも、それと一生いとこの面倒を見ることとは全くの別問題。それぞれに家族が出来れば、どうしたってそちらを優先する。
伯母の「いっそ死んでくれれば良かったのに・・・」は、そういうもろもろを飲み込んだ末の答えなのだろう。

映画では奇跡的なことは何も起きず、淡々とした日常の延長のように、半年後に父親が亡くなる。
それまでは、父親がいないと何もできなかった大福が、周りの人の手助けもあって、ひとりでバスに乗ったり卵を割ったりができるようになっている。日常のそこここに、いないはずの父親の影が見えるのだ。

きわめつけは、父親の勤務先の水族館の水槽で、大福が海亀と戯れるシーン。
生前、父親はハリボテの甲羅を背負って海亀の格好をして、「お父さんは死んだら海亀になるんだよ」と言い聞かせながら、大福とよく、この水槽で遊んでいたのだ。
父親が亡くなった後も、本物の海亀の甲羅に抱きついて嬉々として戯れる大福。

もうここでアウト!父親の言った言葉の意味がわかって海亀と遊んでいるのかはわからないが、大福がニコニコすればするほど涙があふれて止まらない。
その楽しそうな様子が、機嫌のいいとき、わけのわからない鼻歌を歌ういとことカブってまたまた号泣・・・。
人が笑うほどに涙が出る。『海洋天堂』はそんな映画だった。





主役のジェット・リーさんは、映画「少林寺」でスクリーンデビューし、ハリウッドに進出したスーパーアクション俳優だそうです。
アクションものはあんまり見ないから、ぜんぜん知りませんでした。
先入観なく見れて、かえって良かったかも知れません。
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by adukot_u3 | 2012-01-07 17:10 | 映画
ドキュメンタリー『幸せの経済学』
f0046622_195240.jpg見逃したとガッカリしていた『幸せの経済学』、早稲田の大隈講堂で1日だけやってたので、はるばる行ってきた。
ここは、演劇にも使える講堂をと設計されたそうだが、外はそうでもないけど、中がクラシカルで重厚な雰囲気。さすがの重要文化財だ。映画とはなんにも関係ないけど…。

インドの最北部にあるヒマラヤの辺境ラダック
そこは30年前までは外国人立入禁止地域で、外界とは接触せず、自給自足で静かに暮らしていたところだった。
ところが、急速なスピードで世界的に広がった近代化の波は、ここにも押し寄せ、あっという間にマンションが建つような都会になってしまった。

自然と共存する伝統的な生活スタイルは一変、人とのつながりやアイデンティティーも希薄になって行く。
数十年前、「この街に貧乏な人はいません」と言っていた人たちが、あっという間に「わたしたちは貧しいので外国からの支援が必要です」と言うようになった。
この映画の監督でもあり、言語学者でローカリゼーション運動のパイオニアでもあるスウェーデン人のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんという女性は、そんな近代化の波に翻弄されるラダックの人々の様子を映しながら、本当の幸せや豊かさとは何か?を説いていく。

彼女いわく「本当の幸せや豊かさは、ローカリゼーションにある」のだそうだ。
ローカリゼーションとは早い話が、遠くからわざわざ運んで来たものじゃなく、その土地のものをその土地で消費する。
そういう生活のしくみのことを言うが、それによって、人と人、人と自然とのつながりを取り戻し、地域社会の絆を強めていくことができるのだと言う。

実際に世界のあちこちでは、持続可能で自立した暮らしを目指すコミュニティがある。
映画の中では、日本の埼玉県・小川町やキューバで起こったオイル・ピーク(ソ連崩壊と米国の経済制裁で石油の輸入が激減したが、なんとか立ち直った)が取り上げられていた。

内容自体は、なるほどと納得することばかり。
ただ、グローバリゼーション悪い!ローカリゼション良い!と、矢継ぎ早に列挙されるのは少々疲れる。
そんなに列挙してるわけではないのかも知れないが、少なくともわたしはそう感じた。
ほんとにいいものでも、営業マンに「これいいですよ、これいいですよ」と言われ続けると、「ほんとかいな」と疑ってしまう、そんな感じ。

この映画を観たかったのは、震災の影響や内容への興味も少しはあるが、サイトのトップページの女の子2人があまりに素朴で可愛らしかったから。
幸せの経済学

(写真提供:ユナイテッドピープル)
子供のころ、こういうほっぺたが赤くてはにかみ屋の女の子っていたなぁ。
服の袖口がちょっと汚れてたり、髪の毛が寝癖ついたりしててもべつに誰も気にしない。
そんな時代がちょっと前にあったなぁと懐かしくなったからだ。
今そういう子がいたら、いじめられちゃうかもな。

原発をなくしたら、今の豊かな生活が維持できない→原発推進という理由で賛成する人がいるが、石炭も石油もウランも、結局のところ使えばなくなるものだ。
いくら豊かな生活を手放したくなくても、そういうものに依存する生活は、いずれは変えなくちゃならないのだ。

実はこの映画を観て一番驚いたのは、キューバのオイル・ピークのことだ。
YouTubeで『Cuba's Economic Cricis The Special Period』というビデオ(英語の字幕つき:英語わかんないけどなんとなくわかる)を見つけた。
わたしはこのことを全く知らなかった。
これって世界的に有名なこと?


かつてキューバは、ソ連崩壊と米国の経済制裁で石油の輸入が半減。
GDPは3割減。影響で食糧危機にもなって国民の体重は平均9キロも減ったそうだ。
アパートのエアコンやエレベーターは動かなくて、水はバケツにいれロープで引き上げる。トレーラーが牽引するドでかい通勤用のバスは3時間に1本で混み混み。

大規模機械農業は、牛や馬の糞尿満載の有機農業に変わり、地域社会は自転車で行き来できるぐらいに小さく分散。
エネルギーも食糧も地産地消の自給体制に切り替え、なんとか切り抜けたのだ。

今のキューバは、消費エネルギーは1/8なのに平均寿命はアメリカ並み。
1000人当たりの医者は57人と米国の2倍で、教育も医療も無料。
苦労した甲斐あって劇的に変わったのだ。

日本では、火急な問題は石油ではなく原発だが、今のところ原発はまだ電力供給全体の27%だ(経済産業省・日本のエネルギー2010)。
原発がなくなったらトンでもない生活になると言われると、闇雲にビビってしまうが、どうトンでもない生活になるのかまで言及する政治家やジャーナリストは少ない。

単純にキューバと比べるのは乱暴かも知れないが、日本で原発がなくなっても、このビデオを見る限り、石油半分のキューバよりはまだマシな生活ができそうな気がする。
生活のレベルを下げるのは死んでも嫌だと言うような人もいるだろうが、否応無くやっていかなくちゃいけなくなったとして、これなら贅沢が染み付いた日本人であっても、なんとかやって行けるレベルだと思う。
それでも嫌だと言う人には、死んでもらうしかないだろう。
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by adukot_u3 | 2011-09-29 01:16 | 映画