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大雪に想う(1)
大雪に想う(1)_f0046622_3412275.jpg 大晦日、飛行機を降りて驚いた。
ゆ、雪が、す、すごいっ!!!
空港が山の中にあるせいもあるが、もう一面真っ白だ。
除雪してない場所なら、わたしは完全に埋まる。とは言うものの、昔を考えればそれほど珍しいことではない。最近大雪、大雪とニュースでやかましいが、その基準でいくと、わたしが子供の頃は、毎日大雪だったということになるのだ。

 小学校では、寒くなり始めると、校庭の隅に突然黒い大きな山が出来る。石炭だ。そのうちそこに雪が積もり、今度はふたまわり大きな白い山になる。ストーブ当番は早朝、一斗缶に取っ手をつけた石炭入れとスコップを持って白い山のてっぺんに登り、まず雪を掻いてから石炭を掘り起こし、一斗缶一杯にして教室に運ばなくてはならなかった。

 1kmの急坂を登った山の上にあった中学校では、登下校時の転倒は日常茶飯事。坂を登り切らない先生たちの車が途中で放置されているのも、さほど珍しい風景ではなかった。
下校時には学生鞄を黒いゴミ袋で包み、それをソリ代わりにして一気に坂を滑り降りたりもした。それもセーラー服で…(^^ゞ)これがやたら楽しくて、最初は「やめなよ~」って言っていたちょっと気取った感じの子も、そのうちにつられてみんなで滑りながら家路についたりしていた。
 男子は二階から雪の上にダイブして、ギャグ漫画にあるような、大の字の人の形の跡を作って面白がっていた。わたしもやりたかったが、さすがに制服はスカートなのでヤメといた。

 グラウンドは、冬休み前から入学式ごろまでずっと雪にとざされる。その間、太陽を拝むことなどほどんどなく、鉛色の空の、雪また雪の暮らしが続くのだ。

 裏日本の雪は湿気を含んでいて重い。降り続くと、固まった雪が何層にも重なって、下の方が氷板のようになる。今のように頑丈なプラスチックがない昔は、建設現場で使うような金属製のスコップを使っていた。それ自身も重い金属製スコップでする雪掻きは、真冬の寒さをもってしても汗をかくほどの重労働だった。

 あれから数十年。だんだんと雪は降らなくなり、根雪という言葉すら忘れるほどだったが、今年の、久々に掻き応えのありそうな雪を見て、雪掻虫がうずいた。そういえば朝一番の仕事は雪掻きだったなぁ〜。雪掻きしている頭の上に、よく屋根の雪が落ちてきたっけ…。そんなことを考えながら、黙々と雪を片付けていった。当時はずっしりとした雪の重さを、憎々しく思ったものだが、今ではその重さや冷たさもまた、懐かしいとすら思える。

 しかしその懐かしさは、今は雪とは無縁のところに住んでいるもののセンチメンタリズムだということを、雪国育ちの私は知っている。美しいものは、恐ろしいのだ。
by adukot_u3 | 2006-01-06 16:47 | 能登半島
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