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『スタンドアップ』
映画『スタンドアップ』の試写会に行った。
ふだん、周りが気になって映画館で泣くことはあまりないわたしだが、今日はやられた〜。『パッチギ』以来か。

試写会というとわりと女性が多いが、今回はさらに多くて9割は超えていた。 そしてそのほとんどの人が泣いていたのだから、ある意味壮観だった。中には、しゃくりあげている人もいた。

1975年、アメリカの鉱山で働く女性達が、会社に対してセクハラ訴訟を起こしたという実話を元に、この映画は作られている。
実はわたしは欠員補充のために駆り出されて行ったので、予備知識ゼロ。タイトルすら知らされてなかった。

何も知らないのが幸いして最初のうちは良かったが、暴力夫、シングルマザー、超セクハラと、出るわ出るわ。
おまけに同僚は知らん顔だし、父親との確執はあるし、子供には軽蔑されるし。そして実は…。(まだあるか!)
シャーリーズ・セロン演じる主人公が置かれたあまりにヒドい状況と、そのすさまじいセクハラの嵐は、見ているのさえつらくなるほどだ。
ネタバレになるので細かく書けないのがもどかしいが、あるシーンではそれこそ全身の力が抜けた。 もう、へろへろ〜んってな感じ。



セクハラ自体もすごいが、その背景にはいつも、広大な採掘現場、ダイナマイト、吐き出される石炭とガタガタとやかましいベルトコンベアーの音、工場内のオートメーション化された巨大な機械などが映る。
わたしはそれら「自動で一斉に動く大きなもの」を恐いと思った。
それが、主人公が立ち向かおうとしている社会のように思えたからだ。

チラシには2005年度アカデミー賞最有力とある。
確かにアカデミー賞好みのテーマだし、賞をとっても別に不思議ではないと思うけれど、どうも気になるのがタイトルだ。 原題は『NORTH COUNTRY』。言ってみりゃ『北の国から』だ。
これが邦題『スタンドアップ』になり、
『今より幸せな明日のために。
”STAND UP”──その言葉はあなた自身のためにある』 というコピーに変身。
なんだかいきなり薄っぺらい。

そういえば昔、『愛の嵐』という映画があった。旧ナチスの軍人とその愛人との話だが、原題は『The Night Porter』。
やっぱりこっちの方が断然カッコイイ!
by adukot_u3 | 2006-01-12 23:06 | 映画
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