新『ミス・サイゴン』

ミス・サイゴンポスター7月1日から、ミュージカル『ミス・サイゴン』がまた始まる。
舞台上にヘリコプターが降りて来たりなど、セットが大掛かり過ぎて、今までは帝劇でしかできないと言われていたが、舞台装置を簡素化し映像を駆使したハイテク仕様にすることで、全国11都市での公演ができるようになったらしい。

●ストーリー
アメリカ兵のクリスは友達に誘われて行った売春宿でキムと出会う。戦争で全てを失った彼女にとって、クリスは初めての客だった。
惹かれあったふたりは一緒にアメリカに渡ろうとするが、サイゴン陥落の混乱でクリスは1人で帰国することに。残したキムを気にかけながらも、エレンと結婚しアメリカで新たな生活を始めるクリス。

その後、キムが生きていて、クリスとの子供までいることを知ったクリスは、妻と共にサイゴンのキムを訪ねる。クリスに妻がいることを知ったキムは、子供をアメリカに行かせるために、クリスに会う前に自ら命を絶つ。自分が邪魔だと思ったからだ・・・。

なんか聞いたことある話・・・そう、オペラの『蝶々夫人』そのまんま。
要は、外国人の子供を孕んだが捨てられたというお話。
以前、とある声優さんと話をする機会があったとき、「『ミスサイゴン』はアメリカに都合よく描かれているから嫌いだ」と仰っていた。
最後まで描かれてはいないが、キムが死んだあと、たぶんクリスとエレンはキムの子供を養子にして育てて行くのだろう。
声優さんが嫌いだと言ったのは、見た人が、「あぁ良かった。めでたしめでたし」と結果オーライだと思ってしまうからだろうか?
そのへん突っ込めなかったので、真意はよくわからないけど。

わたしは『ミス・サイゴン』がアメリカに都合良く描かれているとは思わない。
世界の警察だかなんだか知らないけど、結局戦争したおかげで、そのあと、何十年もベトナムの人が苦しんだのは事実。
子供を引き取ったぐらいで、めでたしめでたしなんて全然思えない。
世界中の富を集めておいて、後から慈善事業に勤しむどこぞの企業みたいで、逆にムカつく。
『蝶々夫人』は単純に遊ばれただけだけど、『ミス・サイゴン』は、ふたりの間に中途半端に愛があったとしているところが余計にあざとくて、タチが悪いとすら思う。
人の感じ方ってホントに色々だなぁと思う。

劇中歌「I Still Believe」は、クリスを思うキム、夫の隠し事に気づいた妻エレン、それぞれが「信じているわ~」とクリスに訴えかける歌だ。
はるか昔、本田美奈子さんが歌うこの歌に心臓を掴まれた。
彼女はまだミュージカルの世界に足を踏み込んだばかりの頃で、演技も歌も荒削りだったが、悲壮感すら感じる覚悟のようなものが垣間見えた。
今思えば、デビュー曲の「殺意のバカンス」の時から、周りのアイドルたちとは段違いの歌唱力を発揮していたから、アイドルという枠に収まることに、行き詰っていたのかも知れない。

当時は劇評もそれほど高くはなかった。
その後、あれよあれよという間に、歌姫の呼び声高いミュージカルスターとなった。
当初から注目していたわたしは、自分が何をしたわけでもないのに、してやったりと思っていた。
でも、その彼女ももう亡くなってしまった。


本田美奈子さんの後、キムを演じていたキャストの1人、知念里奈さんが、なんとなく薄幸な感じでキムにピッタリだと思っていたのに、モデルとできちゃった婚。子供が生まれて1年後に離婚。
急な妊娠で舞台を降板したから、仁義上、もうミュージカルは無理かと思っていたら、大丈夫なようで安心した。
舞台をあまり見ない人は、知念里奈さんは売れなくなってどっかに行っちゃったと思っている人もいるかも知れないが、大丈夫。
今や何回もキムを演じて常連のようになっているから。

知念里奈さんは、アイドルとして順調に活躍していたと思ったら行き詰って、ミュージカルに活躍の場を求めたところが本田美奈子さんとカブる。
そしてまた、シングルマザーというのがまた、キムともカブる。
それだけじゃなく、やはり本田美奈子さんのときに感じた悲壮感を、知念里奈さんも持っているような気がする。

劇中歌「I Still Believe」
この曲はやはり、どうしてもアジア人女性と白人女性の組み合わせが一番説得力がある。
そして、このふたりのバージョンが最も素晴らしい。
エレンが耳元で絶唱してるけど、クリスうるさいだろうな。

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by adukot_u3 | 2012-06-06 22:21 | 演劇・演芸
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