歌好き地図好き散歩好き。モットーは『自分で調べて自分で考えて、なるべく自分の事は自分でやる』。さそり座、黒ひょう、AB型女。
by tambow
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『闇の子供たち』
 『闇の子供たち』を読んだ。
タイの幼児売春と臓器密売をテーマにした小説だ。観てないが、映画化もされている

 世界中からやってくる富裕層たちの性の奴隷にされるタイの子供達。大男の相手をさせられる女の子は膣が裂け、男の子は、無理やり膨張させるために性器にホルモン剤を注射させられる。エイズに感染したり、体を壊せば即、棄てられる。字のごとく、黒いゴミ袋に入れて廃棄されるのだ。

 人間とは、ここまで残酷な生き物なのか・・・。
あくまでフィクションだとわかっていても、あまりに強烈過ぎて、言葉が出ない。ディテールの真偽はともかく、幼児売春や臓器密売は本当に行われていることだからだ。そのショッキングな内容に、タイでは映画が上映中止にまでなったらしいが、人や臓器が売り買いされるのは、タイだけではないだろう。

 日本で平和に暮らしていると、遠い国の話のように思えるが、日本だってほんの数十年前までは、貧しさから娘を売ることは珍しいことではなかったのだ。



 わたしが子供のころ暮らしていた町にはかつて、小さいながらも遊郭があった。母の話によると、同級生の中には、遠く埼玉や北関東の方から売られて来る子供が毎年数人はいたという。彼女たちは、そこで下働きとして働きながら学校に通い、ある程度の年になると客をとるようになるのだそうだ。

 最近母に、隣の下駄屋のおばちゃんはそこで働いていて、下駄職人のおじちゃんに身請けされて来たのだという話を聞いてビックリした。もう二人ともとっくに亡くなって、下駄屋は電器屋に代わっているが、身近にそんな人がいたとは・・・。
 子供のころは、田舎の商店のおばちゃんにしては、いつもきちんと着物を着ているし、なんか他のおばちゃんとは雰囲気が違うな~と思ってはいたが、それが「艶っぽさ」だったことにこのごろやっと気づいた。
 年端も行かないうちに遠い見知らぬ土地にひとり連れて来られて、どんなにか心細かっただろう。ずいぶん苦労もしただろうな。

 それでもおばちゃんは、幸いにもおじちゃんに見初められたので、下駄屋のおかみさんとして幸せに暮らせたが、そうやって身請けされた人は、ほんの数人だと言う。その他おおぜいの人たちは、どうなったのだろう・・・。数十年かかってしまったが、遊郭のようなところが一応はなくなったことが、せめてもの供養になるだろうか?

 この本の中に、楽しくなるような所はまずない。そして、内情を知れば知るほど暗い気持ちになる。が、一箇所だけ明るいきざしが見える所がある。「日本から資金援助を受けているタイ政府は、日本側の心証を悪くして援助を断ち切られることを恐れている」という記述だ。
 なるほど・・・それなら小説や映画によって、たくさんの日本人がこの事実を知れば、世論という間接的な圧力をかけることはできるかも知れない。
 わたしが感じた唯一現実的な希望だ。
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by adukot_u3 | 2010-09-18 21:01 | 書籍
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