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『ドライビング ミスデイジー』
『ドライビング ミスデイジー』を観た。

ブロードウェーで人気を博し、日本では映画で有名になった作品だが、2005年に劇団民芸+無名塾で舞台化され、今回は再演となる。
わたしは、内容はともかく、奈良岡朋子さんと仲代達也さんの芝居を一度、生で観てみたかったので行ってみた。

黒人お抱え運転手に対して偏見いっぱいだった女主人が、徐々になじんでいくこの物語、ふたりの演技は期待していたとおり素晴らしいものだった。
が、なにか物足りなさが残った。
やはり日本人であるわたしには、この物語の背景にある人種や宗教の問題については、本当の意味での理解は難しいのか・・・。物足りなさの原因はそこだと思っていた。



しかし、カーテンコールですっかり着替えて登場したふたりの目を見て、そんなことが原因ではないことがわかった。
とにかく目ヂカラがすごいのだ!
奈良岡朋子75歳、仲代達也は72歳。
このトシにしてあの目ヂカラ、あの凄み。
そう、ふたりはただ拍手に応えてあいさつをしているだけなのに、そこからは、近ごろほとんど目にすることのなくなった、「凄み」が感じられるのだ。
仲代達也はともかく、奈良岡朋子の穏やかで静かな凄みは意外だった。

差別意識を乗り越えて、心を通わせていくという普遍的な美しいテーマを演じるのは、たしかに結構なことだ。老いの問題もからんでいるので、同年代とおぼしき観客は、ふたりの演技には深く感銘を受けたことだろう。
だが、こういう人にはもっと、常人が安易に想像し得ないような、人間の裏の裏を演じて欲しいと思う。そう思ってしまうのは、わたしが、老いをまだ実感できない世代のせいなのか?
by adukot_u3 | 2009-03-24 12:10 | 演劇・演芸
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